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国内NFTマーケットプレイス

Shirotaromaru 2022.01.21

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2021年、デジタルアートが数十億もの高額で取引されたり、著名アーティストや老舗企業が参入したりと幾度となく話題になったNFT。NFTとしての作品=コンテンツを提供する企業も増えたが、近年ではメルカリやLINE、そして楽天など多くの利用者を抱える企業がNFTの取引所=NFTマーケットプレイスに参入することを明らかにし、注目を集めている。今回は日本国内と海外のNFTマーケットプレイスについて取り上げたいと思う。

■NFTとは

まずはNFTについて簡単におさらいしておこう。 NFTは非代替性トークンと呼ばれ、暗号資産などに用いられるブロックチェーンを利用したデジタルデータの一種だ。非代替性という名の示すとおり、「唯一無二の、価値を生み出せる」性質を持っている。また、ブロックチェーン上で取引をするため情報の改ざんが非常に困難という特性があり、NFTはセキュリティ体制が万全と考えられる。

つまりNFTの取引というのは、「偽造不可の鑑定書が付与された唯一無二のデジタルデータの所有権」を価値がある資産として売買し、その対価として暗号資産を得ることができるというものだ。詳しくは筆者の「デジタル資産NFT」をご参照いただきたい。

■海外のNFTマーケットプレイス

日本経済新聞社によると、2021年に入ってからのNFTの世界的な取引規模は前年比50倍、1.5兆円を超える見込みであると報じられた。また、データ追跡・分析を行うDappRadar社によると、2021年7-9月期のNFT取引高は、約107億ドル(約1兆2,000億円)で、4-6月の前期比704%増という大幅な伸びがレポートされている。この急激な市場拡大の理由は、大きく分けて次の3つと考えられる。

①NFTの決済通貨である暗号資産市場の拡大
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、ここ数年で認知度がぐんと上昇してきた。テレビでも暗号資産取引所のCMを目にする機会が増え、少額から投資できる特性からも一般投資家に広く知られるようになった。 米テスラ創業者のイーロン・マスク氏がビットコインやドージコインを同社の車の購入代金として受け付けると発言したことで相場が乱高下し大きな話題になったことも記憶に新しい。新規投資家の参入と共に資金流入額が増えたことで市場の成長に拍車がかかった。

NFTは一般的に暗号資産を使用して売買され、暗号資産と同じく一つの投資対象と見なす投資家も多いため、暗号資産の保有者の増加は同時にNFTの投資家を増加させる一因にもなっている。

②人気の高いIP(Intellectual Property/知的財産)コンテンツの増加
米NBAの「Top Shot(トップショット)」、レアル・マドリードなどを擁する欧州サッカーチームと提携する「Sorare(ソラーレ)」など多くのファンを誇るスポーツ業界のNFTや、ルイ・ヴィトンなどの老舗ブランドの参入により投資家層に厚みが出てきている。投資対象がコアな投資家向けの新しいコンテンツだけではなく、人々がよく知るもの、かつ「手に入れたい」と魅力を感じやすいものが増えているのだ。

③投資環境の進歩
NFTマーケットプレイスが充実し、整備が進んだことで取引の難易度が下がっていることも大きい。 例えば、NFT取引の決済方法である暗号資産の種類が限られている場合、暗号資産の価格変動リスクが大きくなるが、複数種の暗号資産による決済が可能となったマーケットプレイスが増えたことがリスク軽減と取引のしやすさにつながっている。また、取引参加者が増加し保有しているNFTを他のユーザーに売却する二次売買が成立しやすくなったことも、マーケットの活況を後押ししている。

■日本国内マーケットプレイス

2022年1月初旬の時点で開設されている、または開設予定が公表されている国内マーケットプレイスをいくつか簡単にご紹介しよう。



2021年に入り、NFTマーケットプレイスへの参入を決めた企業も増えてきた。 今までIP(=知的財産)ホルダーは人気のIPをゲームなどに登場させて購買意欲を刺激したり、書籍や映像化などの派生商品やキャラクターグッズを製作したりすることで収益を得ていた。これに加えNFTという形を加えることで、IPやゲーム内のキャラクターやアイテムを「資産」として保有・売買することができるようになる。

NFTの知名度が上昇するにつれ、自社IPを利用したコンテンツの作成に関心を持つ企業が増えたばかりか、作成したNFTを販売、または二次売買ができる場(=マーケットプレイス)を併せて立ち上げようとする動きも大きくなってきているのだ。メルカリや楽天など、自社のポイントや電子マネーを保有しており、多くの顧客を有する企業にとってこれは新たなビジネスチャンスとなるだろう。

■国内マーケットプレイスの魅力とは

海外マーケットプレイスと比較すると、国内マーケットは規模が劣るものの利点もある。新しい投資対象に新しい取引所、その上言語が非母国語となるとなかなか手が出なかった投資家も国内のマーケットなら、と一歩を踏み出しやすいだろう。また、一般的にイーサリアムやビットコインなどの暗号資産での決済方法が多い中、日本円で決済ができるとなると親和性が高くなるはずだ。

一般的にはどのNFTを購入したいかで利用するマーケットプレイスを選択することが多いのだが、操作性の好みや決済に利用できる暗号通貨の種類、または既に利用しているサービスのIDと紐づけできるかなどで選択するのもいいだろう。アニメやマンガ、ゲームで世界的な人気を誇る日本にはデジタル化と親和性の高いIPコンテンツが数多く存在する。海外のマーケットプレイスと同様に取引量が伸びていくかどうか、更なる発展を期待し注視していきたい。
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