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訪日外国人富裕層のスノーツーリズムの凄さ

SHOTA 2021.01.16

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まず、外国人富裕層と聞いて皆さんはどんな人たちを想像しますか?

中東のオイルマネーで潤い、真っ白な民族衣装に身を包んだ、いかにもな大富豪を想像する方もいるかもしれません。 もしくは、全身をきらびやかなアクセサリーなどで着飾る中華系の富裕層を想像する方もいるかもしれません。

これから紹介するのは、潤沢なお金を日本のスノーツーリズム(スキーやスノーボード体験および観光)に費やす訪日外国人富裕層についてです。

彼らが日本でどんなお金の使い方をしているのか、日本人の感覚にはないその使い方を紹介します。

訪日外国人観光客のコト消費



新型コロナウイルスの影響で、日本のインバウンドは現状壊滅的な状態ですが、 大金を日本経済に落としてくれるという背景もあり、近年はますます訪日外国人観光客のコト消費に注目が集まっています。

しかし一言にコト消費と言っても、訪日外国人観光客は実にさまざまな体験にお金を使っています。 最もメジャーなところでいうと、料理教室、茶道体験、着物体験、サイクリングツアー、人力車ツアー、忍者体験、サンプル食品作り体験などです。 これらは、訪日外国人観光客の団体ツアーなどの行程にも組み込まれるような人気コンテンツとなっています。

また、東京や大阪などでよく見かけるマリカー(マリオカート)体験というコンテンツも非常に人気があります。 これは、マリオやその他のキャラクターに扮したコスプレを着て、公道でカートに乗って街を散策するという体験です。 このマリカー体験は、訪日外国人観光客に人気の体験型観光ランキングで1位を獲得するほどのブームになりました。

そんな中、実はスキーやスノーボード体験および観光といった、スノーツーリズムというコト消費コンテンツが非常に盛り上がってきています。

訪日外国人観光客のスノーツーリズム



日本は世界的に見てもトップレベルに、その積雪量と雪質に恵まれています。 「JAPOW(ジャパウ)」という”JAPAN(ジャパン)”と”POWDER SNOW(パウダースノー)”の造語が生まれているほどに、その雪質はサラサラで、スキーヤーやスノーボーダーにとって最高の環境があります。

そんなJAPOWを求めて、世界中からスキーヤーやスノーボーダー、観光客が日本の冬を訪れています。

特に、北海道のニセコエリアや長野県の白馬エリアには集中的にスキーヤーやスノーボーダーが集まっており、冬のシーズンは日本人のほうが少ないほどです。 まるで自分が海外にいるかのように錯覚してしまうほど、エリアによっては本当に日本人を見かけません。
その国籍は、アジア圏は台湾・中国・香港と東アジア諸国が筆頭で、アジア圏以外はオーストラリア・ニュージーランドのオセアニアからが圧倒的に多く、次いでアメリカとなっています。

また、特にオーストラリアやニュージーランドからのスキー・スノーボード客は滞在期間が平均2週間近くと非常に長く、その分多くのお金を日本に落としてくれています。

そのため、ニセコや白馬では当然英語対応もしっかり整備されていますし、近年は中国語対応もかなり増えてきた印象です。

さらに、日本政府も本腰を入れて日本のスノーツーリズム振興に注力しており、積極的に海外でそのPR活動を行っています。以上から、訪日外国人観光客のスノーツーリズムがいかに盛り上がっているかが分かるかと思います。

しかしさらに深掘りしていくと、実は”訪日外国人富裕層のスノーツーリズム”にこそ大きなポテンシャルが秘められていることが分かってきます。

スキーレッスンにはお金を惜しまない訪日外国人富裕層



ここから紹介する訪日外国人富裕層とは、中国と欧米豪からの訪日客のことです。 それぞれ日本のスノーリゾートでどんな過ごし方、お金の使い方をしているのかを紹介します。

中国の国家政策からの背景と、スキー教育への投資


実は中国は、スキー・スノーボード人口を冬季北京オリンピックがある2022年までに、3億人に増やすという国家政策を掲げています。 3億という数字は、人口が1億人弱の日本人からすると、もはや非現実的な数字ですが、たしかに中国人のスキー・スノーボード人口は激増しています。

また、中国ではこの国家政策に従って国内にスキー場があちこちで建設されています。 中にはかなりの大規模な開発案件もあり、大きなお金が中国国内で動き続けています。 しかし、中国は残念ながらその気候条件から積雪量と雪質には恵まれておらず、実際は人工雪で雪をまかなっているスキー場も多いのが現実のようです。

そんな背景もあり、良質な雪を求めて日本を訪れる中国人が増えてきているのです。 実際ニセコや白馬エリアでも、中国語を耳にする機会が数年前に比べてかなり増えてきています。

そんな中国人観光客ですが、その中の富裕層スキー客のお金の使い方がすごいのです。 これまでに説明した通り、中国では国家政策としてスキー・スノーボード人口および産業を発展させようとしています。 そうなると必然的に、自分の子供をスキー・スノーボード選手として育て、それで食べていけるように教育させる両親が増えます。

しかしそんなスキーの英才教育を受けさせようとすると当然多額のお金が中国では必要になるので、やはり必然的にそれができるのは富裕層に限られてきます。 そして経済的に余裕のある中国人富裕層は、近場でかつ良質な雪に恵まれた日本に、スキーの英才教育を自分の子供たちに受けさせようと来日します。

そして来日した中国人富裕層は、やはりニセコや白馬などの有名スノーリゾート地に滞在します。 そこでスキーの英才教育を子供たちに受けさせるわけですが、実際にそのスキーレッスンをした経験がある方の話によると、そのレッスン料は4時間で3万円だったそうです。 しかもこれは最低ラインで、それ以上の報酬を受け取ることもあるようです。

日本のスキー場の一般的なスキーレッスンは、丸一日のレッスンでも高くて7,000円ほどなので、それと比較するとやはり高額であることが分かります。

中国人富裕層のスキー教育への投資は、これからも増えていくことが予想できます。

スキーガイドに1日10万円支払う欧米豪富裕層


スキーレッスンおよびガイドに支払う報酬が圧倒的に高いのは欧米豪からの訪日富裕層客です。 彼らはだいたい、スキーガイドのみでなくその後の温泉や地域の飲食店アテンドなど、丸一日のトータルコーディネートを依頼することが多いそうです。

その相場は1日トータルで最低10万円〜です。 特にニセコエリアではこれは一般的な金額で、かなりのお金が地域経済に落ちています。 だいたいがファミリー客で、スキーガイドと言っても子供の子守役であり、ちょっと雪遊びしながら両親たちがスキーを終えるまで待つような時もあるようです。

また、これも実際に経験したことのある人からの情報ですが、ニセコや白馬のバーなどで飲んでいる時に仲良くなった外国人の方が突然、「報酬は支払うから、明日○○の山の案内をしてほしい」と直接頼まれることもあるそうです。

そしてそういう依頼をしてくる外国人はやはり経済的に余裕のある人が多く、外資系の某政府系投資ファンドに勤める人だったりします。高額な報酬をポンッと簡単に出す人が多いのは間違いありません。

まとめ

以上のように、中国と欧米豪では少しスノーツーリズムに対するお金の使い方が異なっていますが、大きなお金が動くマーケットであることをお伝え致しました。 訪日外国人富裕層を魅了する”良質な雪”という観光資源に恵まれているのは、日本の大きなアドバンテージです。これをいかに上手に活用して、日本のスノーツーリズムを盛り上げるのか。 人口減少で日本の内需はますます縮小していくことは見えているので、こういった外需の獲得が、これからの日本経済に求められています。
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