

日本橋の三越で芸術の秋
Mimi 2024.10.04
今年も、マジッククラブのメンバーで、三越劇場で行われる「テンヨーマジックフェスティバル」に行った。何か月も前から前売り券を買って、楽しみにしていた、このフェスティバル、今年は第64回だそうだ。
テンヨーマジックフェスティバルのプログラムの表紙
日本伝統工芸展 会場図
伝統工芸と言っても、伝統の技をそのまま作品にしたものは、ここで通用しない。新しい技術を工夫して、現代人の感覚にそぐう作品が求められるのだ。それも、奇をてらうのではなく、美しいものでなければならない。この展覧会には精緻で、丁寧に作りこんだ作品が出品されるのが常である。
気に入った作品の写真を撮っておこうと思ったのだが、どれもこれも気に入ってしまい、気づいたら沢山撮っていた。それも、いろいろな方向から。
その中のいくつかの作品をここで紹介しようと思う。まずは、ビッグネーム。 ビッグネームの窯元に生まれるのは、名誉なことに違いないが、期待値も高く設定されているので、それなりに苦労や葛藤もあると思う。そんな一人、今泉今右衛門の鉢は美しかった。墨はじきと言って、墨で描いてから焼成すると、その部分の色が抜けるという技法を使っているのだが、今年は、墨色がない部分との対比が絶妙で、遠くからでも目を引くのだ。横から見た景色は、まるで木漏れ日のようだ。
ポーズをとって身構えている人形の中で、のほほんと月を見ている男の子が一人(手前から3人目)
三越劇場のプログラム
桂川新平氏
桂川氏の背後に弦楽五重奏団が控えて、正統なクラシック音楽を演奏する。それも、皆一流のミュージシャンで、聞き惚れてしまうほどの演奏だ。桂川氏にかかると、音楽は単にマジックのバックミュージックではないのだ。音楽がマジックを具現すると言うか、その逆と言うか、見たことのない融合なのだ。例えば、ビバルディの四季では、「夏」には夏のマジックを見せ、「冬」には演奏に合わせて雪に見立てた白色のカード。ところが「春」の訪れと共に、カードの裏面が思いもよらずに全部色とりどりのパステルカラーのカードに変身してマジック終了。客席からは、思わずワーッという歓声。今後、ビバルディの「春」を聞いたら色とりどりのカードが目に浮かぶのは必至だ。
ビバルディの曲が、冬から春に季節が変わると、今まで雪の白だったカードが色とりどりに変身する
(NHKの世界マジック紀行in スペインより)
ショーの後マジックの先生とお茶をし終わった時にはすっかり暗くなっていた。その日見た工芸とマジックという芸術作品を反芻しながら家路についた。