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高田賢三展は見る人を見るのも楽しい

Mimi 2024.09.06

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「高田賢三 夢をかける」展は東京オペラシティ アートギャラリーでで開催されている。エスカレーターの先のピンクのバラのポスターを見た途端からワクワクする。


オペラシティのアートギャラリーに向かうエスカレーターの先にはピンクのバラのポスター


展覧会のチラシ


ピンクのバラって、絶対、この展覧会、楽しいに違いない、きれいに違いない、と思わせてしまう何かがある。

ああ、そして、この期待は裏切られなかった。むしろ、想像以上に素晴らしくて、わくわくだった。展覧会もさることながら、そこを訪れている人たちがおしゃれなのだ。私は、展示されている服の前を、きれいな蝶が花の間を飛びまわっているように、風景になって歩き回っている若い人たちを眼で追っていた。

そのうちの何人かに声をかけて写真を撮らせていただき、ブログに載せるのにも同意していただいた。その写真だけ見たい方は、このブログをスクロールしていくと、最後に行きつくのでどうぞ。なんて素敵なファッションセンス!と私が感心したのもなるほどと、うなずけるはずだ。

まず、高田賢三の展覧会から。この展覧会は、写真を撮るのが自由。それに服の並べ方が工夫されていて、回遊式に歩いて行くと、服を前からだけでなく後ろからや他の角度から見られるのも嬉しい。照明も明るくて見やすい。


会場マップより
この配置により、色々な角度から展示物を見ることができる


まず、入口に入ってすぐの展示に度肝を抜かれる。これが、ウェディング・ドレスだからだ。ウェディング・ドレスって、大抵ファッションショーの最後に出て来るけれど、白いのが定番。それなのに、高田賢三(以後賢三と書く)のは、民族衣装的なテイストだ。賢三はパリで20年に渡ってリボンを集めた。「色とりどり、様々な素材、古いもの、新しいもの、刺しゅう入り、シンプルな形」(賢三の言)を全長200メートルに渡って惜しげもなく使い、唯一無二のウェディング・ドレスにまとめ上げたのだ。

そして、このウェディング・ドレスこそこの高田賢三展の精神を象徴している。


ウェディング・ドレス


パリコレのファッション・ショーでこれを着たのは山口小夜子


彼には、服はこうでなくちゃ、というこだわりが一切ない。先のリボンのように、色も素材も、新旧とりまぜて、歴史と地理の壁を取り払って、新しい物へと変身させる天才なのだ。

その、ごちゃまぜ感が、この展覧会をユニークで生き生きした物にしている。正に、おもちゃ箱をひっくり返したかのような、様々な色、形、テクスチャーの服が並び、そしてそれらが総体的に高田賢三という、一人のアーティストの実像を形作っている。

ディオールやシャネルの展覧会に行った時には、高価な服が高価に見える照明で照らし出されていた。漂ってくるのはシックな高級感そのものだ。

賢三の展覧会はもっと身近な雰囲気だ。面白いところは、服を着たボディのそばに、その服を着ているモデルの写真が随所にあるのだが、そのモデルときたら、街角で見かけるおしゃれな女の子、といった風で生き生きとその服を着こなしているのだ。「あたしも着たーい!」と思わせてしまう魅力がある。


ボディの背景には、それを着たモデルの写真






彼のもう一つの特徴は、オリジナルのデザインの面白さだ。宝塚の衣装のデザイン画の隣に実際のヘッドドレスが展示されているが、その凝ったゴージャスな画がそのまま実現しているのにはびっくりする。どんな材料をどれだけどのような風に用いるかなど、繊細な計算が必要とされるに違いない。




衣装のデザイン画が具現化されている


思いがけない発想にも感心した。遠くから見て、「あれっ、私のレインコートに似ている。」と近づいてみた花柄の服は、2004年アテネオリンピックの開会式用公式服装だった。オリンピックといえば、日本をイメージとした赤と白の取り合わせの服を想像するが、賢三は、華やかな花で、日本の優しさや気品を現したのだ。着物の訪問着の現代版だ。賢三なりの反骨精神とも言えよう。


2004アテネオリンピックの服
左は開会式用


1980年代、世の中が体のラインを強調する「黒の衝撃」と呼ばれるパリコレの風潮に傾いていた時に、あえて花柄を発表したのも賢三だ。

私が面白いと思ったのは、歴史的な服や民族衣装を賢三独自に解釈し、ユニークな服に作り替えた作品だ。

以下、写真でご覧に入れよう。


マリー・アントワネットの、華やかな服からのインスピレーション


メキシカン・ルック


ロシアのコザックの衣装からの発想


中世の肖像画からイメージ


ジブシーの服の花柄


日本の丹前もこんな風に変身



さてさて、お待たせ。展覧会に来ていた素敵な人たち。その日は雨。だからって、ただのゴム靴などは履かない。雨の日が来るのが楽しくなるような靴。着ているものも、とってもおしゃれ、髪の色もバッグなどの小物も工夫されている。


展示物の一部みたいに見える来館者


カッコいいお嬢さんたち


モード系の学校の学生さん
自分でデザインした服のモデルにもなれるなんて素敵!


私の「お写真撮ってもいいですか?」という不躾なお願いに快く応じてくださって、ポーズを撮ってくださりありがとうございました。

高田賢三展が、単なる一人のデザイナーの展覧会でなくて、その斬新でアーティスティックな表現が、現代を生きる人たちに受け継がれているんだなあ、と実感したのは、皆様のお蔭です。「タダモノ」ではないと私が感じたということは、将来そういうお仕事をなさる方たちだと思いますが、ご成功を!
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