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年長さんと行く美術館───マティス展とホックニー展

Mimi 2023.10.17

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幼稚園の降園後は、毎日孫のゲンちゃんのお世話係。有難いことに、パパとママは何をして過ごそうと、私に任せてくれる。だから、美術館に連れていくことがある。情操教育なんて考えない。ただ、ただ、私が見たい絵を見る為に、ゲンちゃんをお供に連れて行くのだ。

東京都美術館のマティス展には、幼稚園の帰り、たまたま一緒になったエイト君も誘って一緒に行った。

ゲンちゃんとエイト君は仲良しで、絵の感想を話し合いながら楽しそうに歩き進む。「どの絵が好き?」と訊くと、それぞれが好きな絵を指すのだが、大抵好みが一致している。





ある絵の前で「この絵が好き!」とエイト君が言うと、「ぼくも」とゲンちゃん。
「どうして?」とわたし。答えは明快。声を揃えて「おっぱい!」

わあ、なんて無邪気なんだろう。大人はモデルの配置とか構図、色合い、あるいは、調度品や壁紙を指して、絵の好もしい点を挙げるだろうが、決しておっぱいが良いとは言わないだろう。だけど、この絵、本当は「おっぱい」がメインなのだと気づかされる。もしモデルが着衣だったら、絵の魅力は半減するに違いない。

この絵は色がきれいだから好き、とか、それぞれが気に入った絵の前で記念写真を撮りながら進む。



子供達のお気に入りの絵


気にいらない絵もある。「このおばさん、眼が怖ーい!」「こわいよ、こわいよ」と言いながら子供達は眼を手で覆ったりする。


眼が怖ーいおばさんの絵の前で


そんな第一印象だけで絵の鑑賞をしているだけではない。子供達は、鋭い観察眼も持っている。「この絵とこの絵はおんなじだ。」とゲンちゃん。「色がついているのと、ついていないので違うけどね。」とエイト君。「片方は目が閉じているけれど、もう一方は開いているよ。」などと、子供達は同じ構図の絵を比べて、何度も見返している。



この絵とこの絵はおんなじだ


とうとう、最後の切り絵のところに来た。晩年、体が思うように動かなくなったマティスは、切り絵に興じた。実は、私が子供達がきっと喜ぶだろうと期待したコーナーだ。自分でも切り絵を作ろうと思うかも。私の思い描いた理想の会話は、こんな風。
「これは何?」「きっと鳥だね。」「葉っぱの上にカタツムリだよ」「空に星が出ているよ」等々。


切り絵の前で


ところが、「これは何?」と訊くと、「うんこ!」という元気な答えが返ってくる。色とりどり、形もいろいろの切り絵、だけど、子供達にかかると、これも「うんこ」あれも「うんこ」何もかも「うんこ」。そう言われれば、こんなウンコもあるかも、と思えるから不思議だ。

そんなわけで、子供の鑑賞力に驚かされたり、面白がったりしたマティス鑑賞だった。



東京都現代美術館


そして、おとといは、ゲンちゃんと一緒にデイヴィッド・ホックニー展に行った。展示のある現代美術館のレストランは、子供のために、大人の半量のメニューが充実していて、子供でも本格的な料理を食べることが出来る。ゲンちゃんは、ハーフステーキをおいしそうに平らげた。お腹を満たしてから、さあ、ホックニー展へ。


子供メニューでも焼き加減を選べる

子供メニューの裏は塗り絵になっていて、飽きさせない工夫が


ホックニーは1937年生まれの86歳。まだ、新しい挑戦をして絵を描いている。展覧会の最初の絵は水仙の花。ipad で描いたそうだ。きれいで、夢いっぱい、暖かな感じがして、これから見る展示への期待が高まる。


1番最初の絵は水仙


ゲンちゃんと手をつないで見て回る。とても大きな絵が沢山あって、見ごたえがある。「この季節は何かしら?」などと訊くと「樹には葉っぱがないけれど、春だよ。ほら水仙の花が咲いているよ。」とゲンちゃん。絵が大きいせいか、自分が絵の中の世界に入っていくような感じがする。春一番に咲いた水仙にワクワクするのだ。



絵はどれも大きい


いくつもの額縁が並んだ展示では、ゲンちゃんは「チューリップは、ここと、そこと、あそこにあるよ」とか、薔薇や水仙の絵をいち早く見つけて教えてくれる。ゲンちゃんとおばあちゃんが共通の趣味、ガーデニングでお花を観賞している気分だ。


お花の絵の額がいっぱい


絵だけではない。ムーヴィーの展示もあった。展示室の四面それぞれに、動く車から撮った春夏秋冬の情景が映し出され、鑑賞者は絵の中にどんどん引き込まれていくような錯覚を覚える。ゲンちゃんは、冬の雪景色が一番好きだと言って、見入っている。

最後の部屋には、カーブを描いて続く長―い絵の展示。「ノルマンディの12か月」という。全長90メートルの景色。手をつないで、季節をまたいだお散歩を楽しむ。木に白い花が咲いてるよ。ほら、リンゴの実が生ってるよ。いっぱいだね。お天気いいね。あっ、雪だ。



全長90メートルの絵


孫の情操教育なんて考えない、と書いたが、もしかしたら私の情操教育になったのかも。

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