騙される楽しみ、騙す楽しみ───テンヨー マジック フェスティバル
Mimi 2023.09.26
久しぶりに日本橋の三越劇場のテンヨー マジック フェスティバルを見に行った。
今回は4年ぶりの開催だという。
プログラムの表
プログラム
緒川集人氏拡大写真
でも、これはマジックとは言えないかもしれない。余興かな。
マジックでダントツに面白かったのは、トリを務めた緒川集人氏のスプーンがコインに替わってしまったり、そのコインがスプーンに戻ってしまうマジック。
緒川氏の前に、数人の有名マジシャンがマジックを披露したのだが、緒川氏が出て来た途端、何か空気が変わったのだ。どうしてかな、と考えてみた。
他のマジシャンたちは、確かに隙のないパフォーマンスで、完璧な舞台なのだが、お客に対して、騙してやるぞ、どうだ、見抜けないだろう、というような雰囲気が漂っている。お客も、騙されるものか、と身構える。少なくとも私は鵜の目鷹の目でマジシャンを見張る。マジシャンが右手を挙げて観客の注意を引こうとすれば、私は必ず左手の位置に注目。その左手から何かが出れば、やっぱりネタは左手で引き出したのね、などと勝手に想像して納得。
襞の多い服を着ていれば、これだけ襞があればどんなネタだって隠せるだろうと推理。確かに演者は舞台に登場して来たときより、退く時の方が細くなっているのにも気付く。
きっと、マジシャンにとって、私は面倒くさい客だ。
だが、その疑り深くて、好奇心旺盛、騙しの技術を発見するぞ、と意気込んでいる私が、緒川氏の前では、単純にアーッ、とかオーッとかマジックの世界にどっぷり浸り、騙されるのを楽しんでいる。多分それは、緒川氏の人の好さを駄々洩れさせる、トークにもよるものだと思う。
前回緒川氏のパフォーマンスを見たのは、六本木で行われた、マジックの世界大会FISMの時だが、その時彼は、ギミックを落とした。その時は失敗したのだと思った。今日も彼はギミックを落とした。失敗したのかな。それともわざと失敗した振りをしたのかな。二度続けての失敗に、ちょっと疑問を持った。緒川氏のような天才的なマジシャンがギミックを落とすはずがない。少なくとも、緒川氏の前にやった演者だったら、落とすのは致命的な大問題だっただろうが、緒川氏の場合、かえってそれがお客の失笑を買い、お客との距離を縮めるのだ。落としたのは、彼のパフォーマンスの一部だったに違いない、と今では思う。
緒川氏は、自分のお母さんや子供さんもこの舞台を見に来ている事、いつも家を留守にして迷惑をかけて申し訳ないと思っていることまで話し、マジシャンも一人の人間で、良き息子であり、パパであることをアピール。そんなところも共感を得る力になる。
こんなトークが、お客の気持ちをリラックスさせ、おおいに騙されてやろうじゃないか、という気持ちにさせるのだ。これもプロマジシャンのテクニックのうちなんだね。
さて、テンヨー マジック フェスティバルのもうひとつの楽しみは、劇場内に作られた売店で、発売前の新製品を手にいれられるところにある。25分の休憩の前に新製品がひとつひとつ紹介されると、直後売店はお客でごった返す。
私など、手品道具はいろいろ買い揃えるのだが、相当な練習が必要で、うまく出来ない物ばかり。だから、今年は何も買わないぞ、と決めていた。だが、売店終了5分前になって、やっぱり好奇心が抑えられなくなり、新製品4点セット、本日先行発売、9,000円というのを買ってしまった。
買ったのは、
ミステリー ショーケース:小さいテーブルの上にスタンドを載せ、カバーをかぶせる。カバーを取ると、おお、なんと本物の500円玉が出現。
中身は普通の動物図鑑
上から見たところ