

小さな中国の音楽会
NOVA ERA 2022.06.22

先週の土曜日に、小さな音楽会に行ってきた。
それは、アマチュアで音楽を愛好する中国人がギター、フルート、バイオリンで伴奏し、かわるがわる1人が歌唱する、というスタイルだった。どの歌い手ものびのびと楽しく歌っていた。華僑の集まりなのか、皆さん気ごころが知れていて打ち解けた雰囲気だった。
気候の良い初夏の午後に、バイオリンの調べに乗せたプートンファの流麗で甘い歌唱を聴いて、すっかり気分が良くなったところで、ティータイムになった。イギリス式のハイティーは久しぶりであり、美味しいダージリンをいただき、ゆっくりできた。
決して、歌唱の上手さを競わず、音楽会参加歴や歌唱歴も問わない。ただただ、かわるがわる歌い手が変わり、プートンファの流麗な歌唱が続いてゆく。
絶え間なく続く流麗なプートンファの歌唱を聴いているうち、映画『去年マリエンバードで』を観た時のような感覚にとらわれた。『去年マリエンバードで』(L’Année dernière à Marienbad アラン・レネ監督 1961年)は、場面がロンドのように巡るのだ。それは、とても不思議な感じがする。
ふと、時計を見ると午後6時になっていた。これから始まる宴に参加するほど親しくはないので、これでおいとますることにした。
エントランスに白いくちなしの鉢植えがあった。初夏の夕べに漂う甘いくちなしの花の香りが、小さな中華音楽会の余韻となった。