日本有数の観光地である京都が、財政難によって企業でいうところの破産にあたる「財政再建団体」に、転落する恐れが出てきています。ところが一方で、京都ではマンションが富裕層に人気で、価格が高騰しているとのこと。マンションバブルとも呼ばれていますが、富裕層が京都のマンションを購入し続けることで、財政赤字が解消するかも知れません。

■京都がデフォルト寸前になった理由は「地下鉄」

まずは、なぜ京都がデフォルト寸前まで陥っているのかを、確認してみましょう。京都の財政赤字の最大の原因は、1997年に開業した市営地下鉄東西線にあるようです。

バブル期に建設を続けたために、工費が高騰し事業費が当初予定の1.4倍の5,461億円に増加しています。一方で、完成後の見込み収益である、1日約18万4,000人の利用者には、開業から1度も到達していないので、工事費を回収することができなくなっています。

これでは、地下鉄を営業すればするほど赤字は積み重なる一方になります。

■手厚い市民サービスと京都市職員の厚遇

京都市の市民サービスを確認してみると、次のような手厚いサービスが実施されています。利用する市民にとってはありがたいことですが、全て市税が財源となっているので、支出が多くなるのは否めません。

・70歳以上の市民は無料か低料金で市バス・地下鉄を使える「敬老乗車証（敬老パス）」
⇒2019年度時点で50億円
・小学生の虫歯治療費の全額助成事業
・保育士の独自加配

少子化とはいえど、虫歯治療は高額になるケースもあり市内の小学生の虫歯が多くなれば、事業費も膨れ上がります。また、京都市の職員の給与水準は政令市の中でも上から4番目と、厚遇となっていることも、財政を圧迫している原因となっています。

■古都京都ならではの事情もある

京都といえば「古都」にイメージが強く、実際に寺社は多くこの全てが非課税となっています。その結果、市の主要財源となる固定資産税は、市民一人当たりに換算すると、政令市の平均よりも約3,000円低いのです。

また、京都大学をはじめとする学校も多くあり、市民の多くが学生であることから、納税義務者は全市民の43.1％で、政令市の中で最も低い割合となっているのです。

■観光客の激減

それでも何とか持ちこたえていたのは、インバウンドでの観光による収入があったからです。ところが、新型コロナウイルスの影響によって観光が大打撃を受けて資金不足に陥り、自治体の「禁じ手」ともいえる「減債基金」から181億円を取り崩すに至っています。

■「非居住住宅利活用促進税（別荘・空き家税）」を導入予定

そのような状況の中で、京都市は新たな税収として「非居住住宅利活用促進税（別荘・空き家税）」の導入を予定しています。これは、富裕層がセカンドハウスとして、京都市内のマンションを購入していることにも関連しています。

■カンタンにいうと富裕層から固定資産税を徴収する仕組み

これまで居住実態のない住民からは、税金を徴収することはありませんでしたが、富裕層がセカンドハウスとして京都市内の多くのマンションを購入し、現在マンションバブルと呼ばれるほど、京都市内のマンション価格が高騰しているのです。

2021年には1㎡あたりの価格が90万円に迫る勢いで高騰していて、一般のサラリーマンでは購入できない価格まで跳ね上がっています。そこで、セカンドハウスとして購入している富裕層が、たまにしかマンションを利用しなくても、京都市内でマンションを持っているなら税金を徴収できる仕組みを作った訳です。

■税額は年間94万円！？富裕層には問題ない価格

新しく導入する税金では、床面積100㎡のマンションでは、年額約94万円となります。この税金は、例えば東京に住民票を持っていて本宅も東京にありながら、別宅として京都市内のマンションを所有している場合に適用されます。

ワンルームマンションの広さでは年額約3万円ですが、富裕層が購入するマンションは先の100㎡ほどの広さのマンションが通常でしょう。一般のサラリーマンでは年額94万円の税金は、驚いてしまいますが、富裕層にとっては問題のない金額といってよいでしょう。

■令和8年導入予定！富裕層の税金で京都の財政が復活できるかも！？

この「非居住住宅利活用促進税（別荘・空き家税）」の導入は、早くても令和8年です。京都市としてはその間に、たくさんの高級マンションを富裕層に購入してもらい、多くの税金を徴収したいところでしょう。

現状のままマンションが購入されていけば、あながち夢の話ではなくなります。本当に富裕層からの税金で財政がV字回復するかも知れませんね。

参考サイト
ITmediaビジネスONLINE　「京都に住めない」富裕層人気で不動産価格高騰　マンションの相場は？
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2202/17/news099.html
読売新聞オンライン　京都市「財政破綻」の危機…高い職員給与・手厚い敬老パス・バブル期に地下鉄建設
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210526-OYT1T50096/