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アメリカの富裕層も注目する、ペットを癒すための音楽家ジャネット・マーロウ

焔(Homura) 2022.02.28

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長引くパンデミックの中でメンタルケアが必要なのは人間だけではありません。私自身、音楽が大好きで好きなミュージシャンのライブを楽しむために年に数回はアメリカに行っていました。アメリカに住んでいるセレブの友人が馬好きで、競走馬を何頭も飼っています。その友人に教えられた「動物を癒すために曲を作るミュージシャン」ジャネット・マーロウ(Janet Marlow)さんについてお話ししたいと思います。

日本でもペットを飼っている方は多いと思いますが、動物にもメンタルケアは必要でしょう。世界でも珍しい動物のための音楽づくりを続けるミュージシャン、どんなきっかけで動物のための音楽づくりを始めたのでしょうか?

■ペットのための心が落ち着く音楽

私自身、ジャネット・マーロウさんというミュージシャンについては全く無知でした。彼女は20年以上前から動物のための音楽を作り始めています。自分自身のペットを、音楽で落ち着かせることができたことがきっかけだったといいます。

彼女はクラシックとジャズのギタリストです。ミュージシャンとしての活動歴は35年以上にも及びます。そして、ペットのメンタルケア目的で楽曲制作を始めて20年。そもそものきっかけは彼女が飼っているペットが、彼女が演奏している間そばで音楽を楽しんでいることに気がついたことからでした。マーロウさんはそこから150曲以上の楽曲を作曲しています。

そんな彼女の演奏は自信が運営するPetAcousticsを通じて全世界にリリースされています。YouTubeの公式チャンネルでも彼女の楽曲を楽しむことができますので、興味がある方はぜひ一度聴いてみてください。

■アメリカの富裕層の半分以上がペットのメンタルヘルスを心配しています

アメリカにはAPPA「アメリカペット製品協会」という団体が存在しますが、この協会が行った最新の調査では犬や猫などペットを飼っている半数以上が、動物を落ち着かせるための何かしらの製品を使っているといいます。

長引くパンデミックの中アメリカのセレブたちが心配するのが、長時間を一緒に過ごすペットたちの分離不安症です。アメリカでは長期に渡ってロックダウンなどが行われていたこともあり、「いかにペットのメンタルケアを行うか」そんな観点から注目されたのがジャネット・マーロウさんの楽曲でした。

■音の行動学者としてのジャネット・マーロウさんの活動

彼女が動物に与える音楽の影響と仕組みについて学び始めたのは1997年にさかのぼります。ペット達の行動反応について熱心な調査を行った彼女は論文まで発表しています。そして、その論文はアメリカの獣医学専門誌にも掲載されています。彼女の研究が導いた答えは「動物それぞれの種」に合った音楽を聞かせることで、ペットにポジティブな効果を与えることができるというものです。

動物によってそれぞれ可聴範囲は異なります。彼女はその情報をもとに動物にとって聞きやすい音の範囲で曲を作り始めました。彼女のYouTubeチャンネルで公開されている最新作を私も聞きましたが、人間でも十分に癒されるような音源となっています。

この最新作「EquineRelaxTrax」は馬のために作曲されたものです。今では、驚くほどストレスに過敏な動物として知られています。そして、そんな馬のストレス治療にはかなりの費用がかかります。特に多いのが胃腸障害で、競走馬のうちの70%以上が潰瘍に悩まされており、その治療には少なくとも2,000ドル以上がかかると言われています。この治療費はあくまで病気を治すためのもので、競走馬としてのパフォーマンスを取り戻せるものではありません。アメリカの獣医師も音楽によってストレスフリーの環境をつくることで、パフォーマンス面の改善も見られると発言しています。

今回紹介したジャネット・マーロウさんの曲作りは、私たち人間に向けたものと大きく異なっています。その大きな理由は人間の脳の分析能力にあります。例えば私達は音楽を聴く時に、脳内に取り込んだ音を空間的に分析することができます。分かりやすく言えば、ギターやドラムなど楽器の音とボーカルなどを別々に認識することが可能です。ただ動物の場合この分析能力がありません。動物は音楽をあくまで全体として聞いて行動反応を決めると彼女は話しています。

この辺りの動物の行動反応が身体的であることは人間の心理カウンセラーである私にも初耳でした。彼女の音作りは繊細で全ての音が動物の可聴範囲に収まるように、ひとつひとつ丁寧に音を重ねていくスタイルです。

興味のある方は是非彼女の音楽でご自身のペットのメンタルケアをしてみてはいかがでしょうか。
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