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垂直離着陸が可能なハイブリッド型飛行機

ShiGezone 2022.02.22

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垂直離着陸が可能な飛行機と言えば、「オスプレイ」が有名ですが、これはあくまで軍用機。富裕層が所持するプライベートジェットは、垂直離着陸ではなく滑走路を使って飛行します。今回は、滑走路が不要でヘリポートがあれば離着陸できる飛行機をご紹介しましょう。

■Craft Aerospace社のハイブリッド電気垂直離着陸「VTOL」型





自動車業界にはEV革命が起きていますが、飛行機業界にもEVの波が押し寄せているようです。アメリカ・カリファルニア州の、Craft Aerospace社が開発している飛行機は、9人乗りで都市間を結ぶ交通手段として開発されています。このVTOL機はハイブリッド式となっていて、電気飛行機と呼んでも良いでしょう。

特徴は16基のプロペラと、その翼の形状にあります。「ボックスウイング」と呼ばれる翼は、胴体前部と後部に伸びた翼の翼端がつながり、枠のようになった独特の形状をしています。見た目は、SF映画に出てくる現存しない未来の乗り物に見えてしまいますが、あくまでも現実に開発・製造されている飛行機です。

【ハイブリッドVTOL機のスペック】


VTOL機とは、ヘリコプターのように垂直離着陸ができ、かつ固定翼機のような高速巡航も可能な航空機を指して呼ばれています。今回紹介するCraft Aerospace社のVTOL機のスペックは次のとおりです。

・最高時速:約550km/h
・航続距離:約1,609km(1,000マイル)
・航行可能高度:3万フィート(9,144m)

速度としてはプライベートジェットに劣りますが、垂直離着陸が可能なので飛行場がなくてもヘリポートがあれば利用できるメリットがあります。このメリットを利用して、Craft Aerospace社では「ドア・トゥ・ドアの移動ができるもの!」とアピールしています。

【Craft Aerospace社のハイブリッドVTOL機の特徴】


Craft Aerospace社のハイブリッドVTOL機の特徴は、翼の後方に備えられている「フラップ」と呼ばれる動翼です。VTOL機の多くは、プロペラの方法を変えることで垂直離着陸を可能としています。例えば、オスプレイのように離着陸の際は、プロペラを垂直に地面に向けて浮力を得て、上昇してからは水平にして飛行します。

ところが、このハイブリッドVTOL機では、プロペラの方向は変わりません。翼の後方にある動翼「フラップ」を使って、プロペラの後方へ流れる空気の方向を下方向へ変更できます。



この仕組みにて、垂直方向に推力が働き、垂直離着陸を可能にしているそうです。また、16基のプロペラは冗長性確保のためとされ、翼の各部分で推力の調整が可能とされています。

■次世代のプライベートジェットになる可能性



Craft Aerospace社では、2022年にプロトタイプの初飛行、2026年に就航を計画しています。開発が成功し、運用も安全かつ順調にスタートしたなら、富裕層の持つプライベートジェットが、本機のようなハイブリッドVTOL機に変わるかも知れません。

なんと言っても、飛行場に移動する時間を要さず、自社ビルの屋上にあるヘリポートからフライトできるのは、とても大きな魅力になるはずです。

参考サイト
Craft Aerospace社公式YouTube
https://youtu.be/nV5khgI48MA?t=42
乗り物ニュース なんじゃこりゃ!? エンジン16基&翼が“枠” 超異形の新型航空機、なぜこの形に?
https://trafficnews.jp/post/114453
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