Blog
Blog

世界のクリスマス料理

Shirotaromaru 2021.12.16

Pocket

気温がぐっと低くなり、色鮮やかなイルミネーションやクリスマスデコレーションが目につくようになったこの季節、心が浮き立つのは子どもだけではないだろう。気づけばもう12月の半ば、クリスマスはもうそこだ。イエス・キリストの生誕を祝うため、世界中の人々が祝杯をあげ家族で美味しい食事に舌鼓を打つクリスマス。 日本では某ファスト・フード企業の発案によりフライドチキンを食べるという習慣が根付いているが、他の国ではこの時期にどのようなごちそうを楽しんでいるのか、いくつか紹介させていただきたいと思う。

■英国・米国 / ローストターキーとエッグノッグ



ハーブなどで軽く味を調えられてから焼かれたローストターキーは、サンクスギビングと同様に英国や米国でのポピュラーなクリスマスメニューだ。大きさにもよるが調理する2~3日前から解凍したり、内部にスタッフィングを詰めたりと下準備に大変手間がかかるが多くの家庭にとって欠かせないクリスマス料理となっている。取り分けるのは古くから家長の務めと言われ、内臓などの食べない部分や焼いた時に出た肉汁などを利用して作るグレービーソースと甘酸っぱいクランベリーソースを添えていただく。ローストした肉というくくりでローストビーフもよく好まれるが、やはりターキーの方が圧倒的に高い人気を誇っている。

身体を温める冬の飲みものとしては、牛乳に卵や砂糖・クリームを加えたエッグノッグが挙げられる。甘くカスタードのように柔らかい飲み口のため、女性や子供に特に人気が高い。スーパーでよく牛乳に並んで販売されており、2~3本まとめ買いしていくファンも多い人気の冬ドリンクだ。

■イタリア / 魚料理と発酵菓子



イタリアではキリスト生誕の前日であるクリスマスイブには体を清めるという意味で肉を摂らず、魚をメインにすることが多い。特に決まった種類の料理というよりは、各地方で採れる新鮮な魚やエビ・貝類を好みの調理法で楽しむスタイルだ。家庭でもフルコースの食事が供され、メインの魚以外にもパスタやデザートなどボリュームたっぷりの料理が作られる。翌クリスマスには肉類が解禁されるため、クリスマスホリデーは体重の増加が免れない期間となるようだ。

様々なデザートのうち、ミラノではオレンジピールなどのドライフルーツをふんだんに練りこんだパネトーネ、ヴェネチアでは粉砂糖をまぶしたバターと卵を贅沢に使用したパンドーロが古くから人気だ。いずれも日持ちする発酵菓子であり、最近では輸入食材店などでも取り扱われており日本国内での知名度も上昇している。

■フィンランド / 豚ハムとミルク粥

「サンタクロース村」のあるフィンランドのクリスマスでは、軽く味付けをした豚の塊肉を数時間じっくり焼いた豚ハム「Kinkku(キンック)」にマスタードベースのソースをつけていただくのが主流だ。隣国のノルウェーやスウェーデンも調理法は多少異なるが、同じく豚肉がメインとなっており、これは古来、北欧で親しまれてきた神話を基にした風習の影響だと考えられている。

またフィンランドでは普段の朝食として牛乳で炊いた甘いミルク粥が広く食べられているが、もともとはクリスマスに食べるごちそうだったと言われている。クリスマスの朝、ミルク粥の大鍋に一粒のアーモンドを隠しておき、取り分けた際にそのアーモンドが当たった人には幸運が訪れるという言い伝えもあるそうだ。

■ポーランド / 鯉料理とボルシチ



ポーランドもクリスマスイブには肉ではなく魚、それも鯉を食べるそうだ。この風習はチェコやハンガリーでも同じで、クリスマス近くになるとマーケットに生け簀(いけす)が設置され、生きた鯉が売られるようになる。冷凍のものや下拵え済のものを使う家庭もあるが、生きた鯉を買い、しばらく自宅で飼ってから調理する家庭も少なくないと聞く。調理法としてはマリネしたものにスパイスを加えてソテーしたり、フライにしてサワークリームを乗せたりする食べ方が主流だ。

また、肉は使用せず、少しの野菜とキノコだけという質素なボルシチも欠かせないメニューの1つだ。材料のビーツの赤い色素がとても鮮やかなスープで、初めて目にする人はみなその色に驚くと言われている。

■オーストラリア / バーベキューとプディング

文化的にイギリスからの継承が多いオーストラリアだが、南半球の国にとって、12月は夏真っ盛りの季節。体が温まる料理というよりは、夏に好まれる食事や冷たいものが多くなる。オーブンを使わないハムがふるまわれたり、自宅の庭やテラスでステーキ肉やシーフードのバーベキューを豪快に楽しんだりするのがオーソドックスだ。ビーチでパーティーを行うこともあり、北半球の厳かな雰囲気とは一味違った楽しみ方がある。

デザートにはプディングが典型的。ドライフルーツやチョコレート、ココナッツをまぶしたものなど何種類もあるフレーバーの中からそれぞれ好みのものを食べるのが一般的だ。プディング以外にも、焼いた甘いメレンゲを土台にして生クリームやカスタード、様々なフルーツをトッピングしたオーストラリアの伝統的菓子「パブロバ」を食べることも。

季節が違うせいか、料理もデザートも北半球のような「クリスマス限定」の特別なものは用意せず、好きなものを食べるという家庭の方が多い。余談だが、絵本などでサンタの相棒はトナカイではなくカンガルーが登場するところも、オーストラリアらしいクリスマスだ。


世界でこんなに異なるクリスマス料理。
今年のクリスマスはどんなメニューを楽しもうか?
ヒントの1つになれば幸いだ。
Pocket