

グリーンゴールドと呼ばれるアボカドと避けられない環境問題とは
焔(Homura) 2021.07.06

森のバターと呼ばれるほど栄養価の高いアボカドですが、全世界の生産量のうちのほとんどをメキシコが占めています。
筆者自身2年間を過ごしたメキシコですが、アボカドはメキシコ料理には欠かせない食材。また日本でも日常的に食べられることが多くなったアボカドですが、最近になって懸念されるようになってきたのが地球環境への負担です。
・アボカド栽培に必要な大量の水が生産地で不足していて健康被害の問題になっている
・アボカド原産国はメキシコなど亜熱帯の気候で栽培されることが多く輸送段階で排出されるCO2値が高く地球の温暖化に影響を与える
この2点について世界中で語られるようになってきました。
オーガニックブームの火付け役アボカド栽培が引き起こす水不足
アボカドという食材が世界で注目されるようになったきっかけは1997年に遡ります。アメリカがメキシコ産アボカドの輸入を解禁したタイミングでした。それまでは農作物関連の病気などを利用に輸入は禁止されていましたが、アメリカでのオーガニックブームがきっかけとなり一気に普及することになりました。
そして現在ではアボカド消費量世界一のアメリカ以外にもヨーロッパ諸国やアジアに輸出の販路が広がっています。
また生産国のひとつである南米のチリではつい昨年の2019年に「水不足に対する緊急事態宣言」が発令されています。
そのマーケットの規模は世界全体で100億ドルと言われていますが、一気に世界中での需要が高まった事から価格も上昇、生産国では「グリーンゴールド」と呼ばれるようになりました。
世界最大の生産国メキシコではこの10年間で生産量と耕地面積が2倍近く増えています。そこで問題になってきたのが慢性的な「水不足」の問題です。
アボカド栽培には一等当たり1800立方メートルの水が必要ですが、他の農産物と比べて特に多くの水が必要とされます。ちなみにオレンジ栽培の場合560立方メートル、スイカ栽培の場合は235立方メートルですので、大量の水がアボカド生産のために使われています。
そもそもメキシコという国は日常的に水不足に悩まされています。(私が暮らしていた当時から続いている問題です)そんなメキシコで大量の水を必要とするアボカドの生産量を増やすために違法な森林伐採なども行われてきました。
そもそもアボカドは乾燥地帯の作物ですが、自然のサイクルに逆らって無理な散水を行うことで慢性的な水不足を引き起こしています。
アボカドブームは地球の温暖化にも影響を及ぼす?
このように世界的なアボカドブームの背景には生産国の水不足と言う問題を引き起こしていますが、健康意識の高い豊かな国が熱帯地域のメキシコなどから大量に輸入するという行為は「現地の水」を大量に消費していることになります。このような考え方は「バーチャルウォーター」と呼ばれますが、世界中への輸出が増えれば増えるほどバーチャルウォーターの消費も当然多くなります。
これは筆者の個人的な考え方かもしれませんが、豊かな国のライフスタイルが一因となってメキシコなどのアボカド生産国に更なる「水不足」をもたらしているのでは、と思います。
また生産国がメキシコや南米などの熱帯地域に集中していることもあり、結果として輸送上で発生するCO2の量も多くなります。
具体的な数字で言いますとアボカド2個を輸送する際に発生するCO2は約846グラム。これは1kgのバナナの輸送で発生するCO2の約2倍にあたります。
したがって世界的なアボカドブームは完全に地球温暖化対策に逆行してしまっています。その原因の一端もバーチャルウォーターの例にあるように、消費国の責任も問われることになるのかもしれません。
筆者個人も大好物であるスーパーフード「アボカド」ですが、現場での生産量の持続維持は難しいと言われています。
数年前に国連で採択されたSDGsでは「持続可能な生産及び消費形態」についてもその目標として掲げられています。
現在のような世界中でのアボカド大量消費は「見直すべきライフスタイル」のひとつとして今一度取り上げられるべき問題かもしれません。
世界中で愛されるスーパーフードアボカド、大切に守られるべき食品だと思います。