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投資格言集

Shirotaromaru 2021.06.30

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「卵を一つのカゴに盛るな」というフレーズを耳にしたことがある方は多いだろう。
これは資産運用での分散投資の有効性を唱える格言としてたいへん有名なものだ。

株式投資の世界には、古くから語り継がれる多くの格言が存在している。もちろん必ず当たるものではなく、あくまでも投資判断の参考にする程度のものなのだが、株式売買を行う中で「なるほど、これはあの格言通りだな」と感じることも少なくない。
今回は株式投資に関する、ユニークな格言をいくつかご紹介させていただこう。


「人の行く裏に道あり花の山」

株式投資にまつわる格言の中で最も有名なもので、千利休の作だという噂もある。
投資家は人気の高い銘柄に群がる。その結果として株価が上昇するのだが、購入のタイミングによっては高値で掴んでしまうリスクを含む。
人の集まる所(=大勢に注目される銘柄や業種)ではなく目立たないところでひっそりと咲く花(=まだ人に知られず株価が上がっていない優良株)を見つけ出すことが大きな成功の手がかりとなるという意味だ。
また「いずれを行くも散らぬ間に行け」という言葉が後に続き、注目銘柄にしても掘り出し銘柄にしてもトレンドが変わる前に動くのが肝要という提言も添えられている。
類似した格言に「相場師は孤独を愛す」というものもある。

「もうはまだなり まだはもうなり」

こちらもたいへん有名な格言の1つだ。
「もうそろそろ底値ではないか?」「まだ上昇するのではないか?」などと、株式投資を行う際にたびたび頭をよぎる「もう」と「まだ」。
生き物とも言われる株式相場は投資家の予測した通りには動かないことが多い。
「もう下げ止まると思っていたらもっと下がってしまった」「まだ上がると思っていたら下がってしまった」というような、予想と反する結果になってがっかりするというのは株式投資によくあることだ。
投資家の読みと相場動向の行き違いを示しており、株式相場の動きを測る上で、自分の判断が独善的であったり浅慮であったりしないか、冷静に状況を判断することの大切さを説く格言だと言われている。

「天井売らず・底買わず」

株式売買をする投資家は誰しも「一番安く買って一番高く売りたい」と考えるだろう。
株価チャートを分析したり、企業ニュースや決算情報を読み込んだり、投資家たちは売買の好機を測るため日々さまざまな努力を重ねている。
しかしどんな手練れでも天井(最高値)で売り、底(最安値)で買うことはとても困難だ。「もうちょっと」と欲をかき過ぎて、売り買いのチャンスを逃してしまわないようにせよという戒めの意味を含む格言である。
類似したものに「売り買いは腹八分」や、他の投資家と利益を分かち合うという意味の「頭と尻尾はくれてやれ」というものもある。
最高値や最安値でなくとも、ほどほどのところで手を打ち、着実な利益を手にしていくことを唱えている。

「買いにくい相場は高い」

株式を買うなら当然安い価格で購入したい。しかし市場や投資家から良い評価を得ている企業の株価は上昇しており「安く買いたい」という希望とマッチしないことも少なくない。
しかしながら株式相場全体が割安な場合を除けば、株価が安いということは業績が悪い、将来的な見通しが悪いなど何かしらネガティブな理由があるのだ。
「株は経済の先行きを映す鏡」と言われるように、株価というのは一般的にその企業や業種の将来的な見通しを元に形成される。
誰もが良いと認める企業の株価が高いのは当然の結果であり、株価が高いことだけで投資対象から除外するのは得策とは言えない。
業績や配当・増資の予想、また注目度の高さなど様々な側面から評価することが重要であり、単純に株価の高低だけで判断してはならないということを説いている。

「相場は明日もある」

リアルタイムで動く株価を見ながら取引を行っていると、 市場の話題をさらうような株価材料が出た瞬間につい飛びつきたくなることがある。
今を逃すと売買タイミングを逃してしまうのではないかと焦ってしまうのだ。
しかし株式相場は何もその日だけに限られたものではない。本当に有望な企業であれば、株価の多少の上下こそあれ1日やそこらのタイミングの差は大きなものではないはずだ。
デジタルデバイスの普及により、24時間大量の情報が飛び交うようになった。SNSやインターネット掲示板などで交わされる他の投資家たちの動向は確かに気になることもあるが、 不確かな情報に惑わされず、冷静さをもって取引に臨むことが重要なのは今も昔も変わらないということだ。


「投資にたら・ればを持ち込むな」

最後に、著名な格言ではないのだが筆者が証券会社に勤務していた頃に教わり、なるほどと思ったものを紹介させていただきたい。
投資をしている中で、どうしても「あの時売っておけば大きな利益が出たのに」「割安だった頃に買っていたら良かったのに」というような心理に陥ることがあるのだが、 終わったことに「たら・れば」という後悔をしても何の役にも立たない。後悔している暇があるのならば新しい優良銘柄を探せという教えだった。
また、次の投資の際に前回の取引を参考にしても決して同じ結果になるとは限らないため、過去の成果にとらわれず、常に新しい目で見ることが必要だとも教わった。

古くから語り継がれている格言は、時代を超えた今なお参考になるものが多い。
このような多くの格言が生まれた背景には、株式投資を行う上で投資判断に迷う場面が多いことがあるからではないだろうか。
格言はあくまでもヒントであり、教えに則って行動したとしても成功するかどうかは約束できない。 「相場に王道なし」という格言のとおり、株式投資で間違いなく利益を出せるような方法はないのだということを心に留めておきたい。

※本格言は、情報提供を目的としたものであり実際の相場等とは一切関係ありません。
実際の投資にあたっての投資判断は、ご自身の判断で行ってくださいますようお願い申しあげます。

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