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最近流行の「FIRE」について思うこと

ROSSO 2021.05.31

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最近になってようやく、世界的に支持されている「FIRE」という理論があることを知った。
この理論を自分なりに調査して考察したので、私が思う「FIRE」について皆さんと共有できたら幸いである。

始めに、私のようにFIREの概要についてあまり知らなかった方のためにお伝えすると、FIREとは「Financial Independence Retire Early」の略で、直訳すると「経済的に自立した早期退職」を指したことばである。
現在、この考え方が欧米の若い世代(20〜30代)を中心に支持されており、一台ムーブメントとなっているのだ。

ただし、この理論は若い世代がただアーリーリタイアを目指すというものではなく、FIREを実現可能のものにするために、 年間支出の25倍の資産を築き、かつ生活費などの支出額を投資元本の4%以内(※)にする(または、年利4%の運用益で生活費を賄う)ことを指す。
そうすることで、理論上は資産を維持したまま、同水準の生活が持続できるため早期にリタイアできるという話である。
※4%という数値は、米国S&P株の成長率7%から、アメリカのインフレ率3%を差し引いた計算

そのため、現役世代のうちに「高収入を得る」「お金をいっぱい貯めて早期に仕事を辞める」などという話ではないし、「頑張って富裕層を目指そう」という自己啓発のような理論ではない。これが議論のベースになるわけだ。
近年、日本では退職するタイミング(定年退職)が60歳から65歳になり、それがさらに70歳までに延期されるなど、年々長期化(先延ばし)される傾向にある。
主な要因としては、年金支給開始年齢の引き上げや、社会保障費(医療費負担の引き上げなど)の増大などが挙げられるが、いずれにせよあまりポジティブな話ではない。

そのため、仮にこのFIREという理論が実践できれば、起業してビジネスに成功したり、積極的に投資に励んだり、莫大な遺産相続があったりといったことがなくとも、一定の収入と支出額のコントロールが可能であれば、 リタイア後も安定した生活を送ることが可能なのだ。

才能や運に恵まれなかったとしても、通常よりだいぶ早くリタイアすることが可能であり、リタイア以降も経済的安定を確保しつつ、自分の趣味や関心事項に時間を費やすことができるため、 結果として人生の満足度の最大化につながる可能性が高い。



ここからは、私の意見を述べていきたい。
この理論は、あくまでも一般的なアーリーリタイアや従来の雇用形態に縛られることなく、長期にわたって経済的自立を目指す考え方を推奨しているだけである。
したがって、リタイア後も好きなことをしながら生計を立てたいのであれば、この理論にならって投資や支出をしていけば良いと思う。
従来の価値観(結婚してマイカーやマイホーを購入するなど)や労働することに縛られず、人生の限りある時間を自分ために有意義に使う点も私は賛成だ。

ただし、私にとってこの理論に欠けているのは、「有事の際(結婚や出産、震災など)を踏まえていない」ことや、投資や節約をベースとしているため「目標設定額以上の生活を望めないのではないか?」という点である。

また、日本よりも資産運用の必要性や重要性が理解されており、成長が見込める欧米市場ではFIREを実践する意味が理解できるが、資産運用の術や必要性があまり理解されていない日本では、 FIREを実践したところで「無謀な投資」になるのではないかという点を危惧している。
日本でこの考えを導入するためには、資産運用の戦略を一人ひとりが考えることも大切だが、自身のキャリアプランを含むライフプランをより柔軟に定義することが求められる。

私からすると、固定観念や常識に縛られ、均一な価値観を好む側面を持ち合わせている日本人は、「FIREに向いていないのでは?」とも感じる。
逆に、FIREが新たなライフスタイルやプラン、価値観を創出するための起爆剤となってくれれば、より多様化した人生設計やキャリアプランが見出せるのではないかと少しワクワクもしている。

果たして、この考えが日本に根付くのか、はたまた計画通りアーリーリタイアができるのか、その点は私にはまだわからないが、 この理論をもとに人の数だけ存在する多様な幸福を叶えていってもらいたいものである。

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