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「最上級」だからこそ得られる心地良さ

ROSSO 2021.03.23

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皆さんは、今日までにどれほどの「最上級」を味わったことがあるだろうか? こう話している私も、実は大して最上級を知らないのだが、今回は私が味わった最上級の心地良さをお話ししたい。

富裕層であれば、年間を通してあらゆるブランドや企業からインビテーションを頂くことができる。私もこれまでに、スーパーカーの声掛けをはじめ、ブランドの新作の受注会や進展のオープンセレモニー、購入者の上位層にお呼びがかかる記念パーティーやレセプションなど、さまざまなイベントに参加してきた。

当然、その会場に出向けば、テレビなどで見たことがある著名な方々や、「あれ?またこの人いるな」と名前や職業は知らないものの、あちらこちらでしばしば見かける方までお会いすることができる。そんな方々を相手するのであれば、当然招く側のブランドや企業側も、一流の場所で一流のおもてなしをするのが常である。

しかし、正直なところをお話しすると、一流の企業・ブラントだからといって、必ずしもそのおもてなしが一流や最上級であるわけではない。言い方はひどいが、結局一般の方と比べ財力があるだけで、そこに招かれている人も、実はたいしたことはないのである。

私のような若輩者をはじめ、ここ数年で富を手にしたような成金、何をしているのかわからない輩から、数十年にわたってそのブランドを愛している人までさまざまである。そうなれば、これまでに伺ったパーティーやイベントの中には、「え、これだけ?」と思ってしまう者や、失望に値するような最上級が存在するのも当然である。

ただ一点、私が失望したのは、後になってその際のイベントやパーティーのことに触れたSNSなどを見せてもらうと、賞賛の声やその人たちを羨望の眼差しで見るコメントに溢れていたことだ。それらを踏まえると、そもそも今日には最上級というものが存在しないか、まだ私自身が辿り着けてないステータスの中に最上級なるものは存在するのかのどちらかと考えている。

そのため、ここ数十年にわたって一流を極めた方々にとっては、近年のこれらの催し物はいささか不満が残る時間だろうとお察しする。初めからこの話をしてしまうと、このテーマ自体で書くことが破綻してしまっているような気がするが、致し方ない。



今回は、私が伺ったとある高級時計ブランドの最上級について少しばかりお伝えしたい。このブランドは、近年富裕層の間で特に好まれているもので、時計一つひとつにストーリーや圧倒的な技術力があるだけでなく、他社では真似できない創造性が詰め込まれている。

そして、このブランドでは、新作が発表されるタイミングとほぼ同時期に、その新作に対してのヒアリング会(受注会)を行っているのだ。当然、来る人の数にも限りがある。これまでにコレクションしている数が評価されたのか、私には数年前からお呼びがかかるようになった。

このヒアリングは、あくまでもこれから発表または発表された時計が、いつ頃、いくつ、いくらで販売されるかなどの情報を我々にお伝えしてくれる時間になるだけでなく、そのほかのオーナーの動向も知ることができる。例えば、「この前狙っていた〇〇シリーズをオーナー様が出してくれる」といった話から、「〇〇店に限定〇〇本の時計が中古として出ました」など、マニアにとって垂涎の情報が頂けるのだ。

場合によっては、そこに参加されているオーナーと直接交渉できる機会があるくらいである。そのため、ほとんどの受注会やイベントには参加しない私だが、このブランドのヒアリングだけには最高のコンディションと時間を設けて参加している。

また、このブランドでは、所有者を招いたオーナーズパーティーも開催している。会場も都内の一流ホテルを貸し切って、豪華な食事や演奏、サービス、著名人の登壇などと、まさに時計の価値に見合った内容になっている。

このイベントの素晴らしいところは、ほぼすべての人がこのブランドの時計のオーナーであることだ。そのため、自分では買えなかったタイプの時計や憧れていた時計、初めて見る時計など、時計が好きな人にとってはたまらない眼福の時間を過ごすことができる。

人によっては、ここから交流の幅を増やすことも可能だろう(私にはこの場を使って交流の幅を広げること自体が高等技術過ぎてできないため、いつも指定された座席、テーブルで一人マイペースにこのイベントを楽しんでいる……)。

このほかにも世界には、商品を受注するだけで本国からデザインの精度を高めるために職人を派遣してくれるブランドや、予約確約とともにファーストクラスや5つ星ホテルをリザーブしてくれるブランドなど、世界の富裕層を楽しませてくれるブランドは数多く存在する。

ただ一部、こういった付加価値のあるサービスは、購入者またはその地位にいる人だけが堪能できるブラックボックス的な要素もある。ここでは、その一部だけでも味わって頂ければと思い、これからも私が経験した主観的意見を記していきたい。

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