Blog
Blog

スケールが大きいアメリカ最北アラスカ州の航空機フードデリバリー事情

焔(Homura) 2022.07.28

Pocket


https://www.nytimes.com/2022/05/05/dining/doordash-ubereats-remote-food-delivery-service.html

日本でもウーバーイーツなどのデリバリーサービスを頼む方も増えてきていますが、先日のニューヨークタイムズに面白い記事がありました。

今回の舞台となるのはアラスカ州です。日本人にはあまり馴染みのないアラスカ州ですがアメリカでは最も面積が大きく、そして一番人口密度が低い州です。カナダの北西部に位置していますので北極圏にも近くアウトドアスポーツの人気スポットが集中しています。

筆者自身は長いアメリカ生活の中でも一度も訪れたことはなく、日本からヨーロッパへ向かう航空機のトランジットとして有名な「アンカレッジ」空港に降り立ったことがあるくらいです

アメリカの富裕層の友人などは良く自家用機でスキーを楽しみに出かけていますが、どうしても悩まされるのが食事のようですね。最近になって航空機でフードデリバリーをするサービスが人気となっています。

■アンカレッジ発の航空機のフードデリバリー

アラスカ州の大きな街といえば思いつくのはアンカレッジとフェアバンクスでしょう。そこを拠点としてセスナ機を利用したフードデリバリーを行なっているのがアメリカの航空会社アラスカ・エア・トランジット社のパイロットでもあるロバートさんです。

アラスカ州には人口が100人程度の小さな村や集落が点在しています。アンカレッジから数百キロ離れたそんな村でもアプリ一つでフードデリバリーが届くようになってきていると言うから驚きますね。

では実際にどのくらいの時間がかかって300キロ離れた村まで食事がデリバリーされるのでしょうか?

ロバートさんは9人乗りのセスナで定期的に郵便物や農産物などを運んでいます。そんな荷物と一緒に届けられるのがアメリカの大手フードデリバリーのドアダッシュなどの食事です。

アンカレッジから300キロ以上離れたアッパークスコクウィム地方へのフードデリバリーはどのように行われるのでしょうか?アメリカらしい壮大なスケールですね。実際に宅配されるまでの道のりはかなり大変なようです。

■アラスカではケンタッキーが一番人気?

アンカレッジ空港離陸したセスナは注文された食事も積み込んでアッパークスコクウィム地方に向かうわけですが、南西方向に向かってクック湾の上空を延々と飛び続けることになります。

さらにアラスカ山脈の山々をいくつも越えて着陸するのはニコライにある仮設の滑走路です。そしてその空港で食べ物が手渡される仕組みになっています。アッパークスコクウィム地方の村にはレストランもありませんので、アプリで注文できるフードデリバリーは大人気のようです。

アラスカ州で始まったセスナによるフードデリバリーですが一番人気はやはりフライドチキンだそうです。

アメリカ国内とはいえアラスカ州はアメリカ人にとってもそれほど馴染みのない州です。そこで始まったセスナによるフードデリバリーですが、そのシステムはかなり複雑な組み合わせが必要となります。

アラスカ州にはアラスカ・エア・トランジット社以外にも数十社の航空会社が存在します。そしてそれらの航空会社はアラスカ州全土に何百とある僻地の命綱ともなっています。

航空会社とパイロット、そして宅配ドライバーが加わることでどんな僻地からの注文にも対応が可能になりました。これまでは人の移動や雑貨などの日用品を運ぶことがメインでしたが、フードデリバリーのインフラが確立されたことでごく普通にピザやハンバーガーからアジア料理までが注文できます。

今ではアラスカの多くの地域で気軽に複数のフードデリバリーサービスが利用できるようになりました。その中でも一番注文の多いのがケンタッキーフライドチキンだそうです。

フードデリバリーアプリのおかげでアラスカの片田舎に住む人にもいろんなレストランの味が届けられるようになりました。

配達料は20ドルだと言いますが、そもそも住んでいる地域にレストランがない場合実際に町まで出ることを考えればさほど高いというわけではないようです。

ただしこの宅配サービスには不安要素ももちろんあります。アラスカのように北極圏に近い地域では予想外の嵐なので飛行機が欠航となることも少なくありません。それでもこのサービスが始まるまではテレビでしかピザを見たことがなかった、というメッセージも寄せられているようですので、今後もっとサービス地域が広がっていくことを期待しています。
Pocket