ラグジュアリーにとって
香りがますます重要になっている

NEWS BLOG 2016.11.08
 ラグジュアリーの世界において香りの重要性が増してきているように感じています。

 最近インタビューをしたWさんはニューヨークに長らく住んでおられたのですが、一番好きな場所が五番街にあるラルフ・ローレンのフラッグシップ店(※2017年4月15日に閉店)。ここに来ると「ニューヨークに帰ってきた!」という感じで気分があがるのだそうです。

 いろいろ理由を訊ねていると、重厚な建物とインテリアがつくり出す空気感もあるのですが、館内をとてもいい香りが漂っていて、どうもその香りが気分をあげてくれるんだというのです。

 そういえばラグジュアリーの世界で、五感の中の視覚(ルックス、インテリア)、聴覚(音楽)、触覚(質感、肌触り)、味覚(美味)ときて、嗅覚だけが未開拓というか、一歩置き去りにされていた気がします。

 もちろん身にまとうフレグランスは高度に発達しているものの、空間を満たすフレグランスをブランディングに活用するという発想は弱かったのではないでしょうか。

 しかし心地よい香りや好きな香りは動物の帰巣本能を刺激するのでしょう。先のWさんのように、また帰ってきたくなる。その香りを求めて無意識にお店に帰ってきたり、またあのホテルに行きたいと思っていたりする行動につながるのだと思います。

 マイアミのビーチサイドに建つ、レジデンスと店舗の複合型ビル、ポルシェデザインタワーでも、この57階建てのラグジュアリーなビルをブランディングする香りを開発し、建物内をいつもシグネチャーな香りで満たしているといいます。

 ポルシェデザインタワーの香りを演出しているのは高級ホテルやブティック向けにオリジナルのフレグランスを開発し、アロマシステムを提供しているエア・エッセンシャルズ社。このタワーのために作った香りのシステムでは、最初にベルガモットとユーカリの香りを出し、続いてジャスミン、リリーオブザバレー、ローズ、ガーデニア(くちなし)、スターアニス(八角)。最後にサンダルウッド(白檀)、オークモス、ホワイトムスクで終わるといいます。    時間差でいろんな香りを出すことで、最終的には館内がミックスされたオリジナルな香りに包まれるということなのでしょう。香りは建物の公共スペースに設置されたアロマ噴霧器から出すのだそうです。

 ホテルでも香りを戦略的に使う動きがあります。

 スターウッドグループのセントレジス・ホテルでは創業一族であるアスター家の象徴的存在、キャロライン・アスターに敬意を表し、2015年に開発したシグネチャーアロマを「Caroline’s Four Hundred」と命名しました。

 19世紀後半、ニューヨークの社交界を牽引したアスター夫人は、自らのニューポートの別荘にあるボールルームがたった400人で満員になってしまうという理由から、社交界の中でふさわしいと認めた400人の名士だけを招き「アスター夫人の400人」というクラブを作ったと言われています。ホテルの館内を満たす香りにこの名を冠するとは、なんとも粋なネーミングです。

 セントレジスの空間を共有するお客さんこそが、世界で選ばれし400人であるということになるわけですから。

 日本にも古来、香を焚くという文化があり、香道という奥深い、香りをたのしみ追及する文化があります。日本のラグジュアリーな空間にも、これからますます、繊細で、独特の香りでブランドを表現する流れが浸透していくのだろうと思います。



参照サイト:Luxury Daily

cover photo: Steven Damron “bloomingdales fragrance display ”



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