春の地中海を訪ねて
~②マルタの海~

Mimi 2019.04.30
Pocket

のっけから質問です。
次のヨーロッパの小国を面積が大きい順に並べなさい。

アンドラ
マルタ
リヒテンシュタイン
サンマリノ
モナコ
バチカン

大抵の人は、一番小さいのがバチカンでその次がモナコだとはすぐにわかるだろう。だが、その他は・・・?
実は、正解は上記の並び順の通りなのだ。小国の中で2番目に大きいけれど、島国はマルタだけだ。

アンドラ468㎢、マルタ316㎢、アンドラの人口が7700万人なのに、マルタは46万人。

日本に帰国し、マルタに行って来たと話すと、マルタを国ではなくイタリアの島だと思っている人がいて驚いた。

確かにシチリア島に近いけれど、マルタの公用語はマルタ語と英語で、マルタ語ときたら、アラビア語みたいな言語なのだ。普段はマルタ語で話すが、英語教育が行き届いているので誰でも英語は話す、観光客にとっては有難い国。

それでは、もう一つ質問。
マルタ人を英語で言うと?

正解はマルチーズ。

そう、あの犬のマルチーズはマルタ産。
そのマルタ、面積は201カ国中189位なのに、世界遺産登録数は83位。つまり、狭い国土にたくさんの見どころを備えている。

マルタに到着してすぐ行ったのが、聖ヨハネ大聖堂。これには圧倒される。何しろ淡路島の半分の大きさの国に、こんな豪華な聖堂があるなんて予想だにしなかった。

内部は金箔張りのキンキラキンで、秀吉もびっくり。これまたキンキラキンのパイプオルガンが威容を備える。大きな教会の脇廊は区切られていて、それぞれの国の言葉でお祈りできるチャペルになっている。床はすべて大理石の象嵌。これは、戦士でもあり修道士でもあった、聖ヨハネ騎士団の騎士の墓石で370以上あると言う。











更に、付属の美術館には、守護聖人の「聖ヨハネの斬首」の絵が飾られている。360センチ×520センチの大きな絵。なんとカラバッジョ作。処刑人の傍らに大きな刀が転がっていることから、ヨハネは息絶えていることがわかる。次に頭を切り取るために、処刑人が腰の短刀を取ろうとしている姿だ。頭を載せるための洗面器を差し出す若い女性、格子の陰から一部始終を見守る人たち等、まるで群像劇を見るかのような臨場感を持って描かれている。



ああ、でもどんな豪華な教会も、カラバッジョの大作も凌駕するもの、それはマルタの海だ。ゴゾ島にある、ラムラ湾を一望できる高台に登った時、私はダイアリーにこう書いた。

   オデッセイが流れ着いた所と言われている湾を見に、岩場をヒイヒイ言いながら、一歩一歩足元に気をつけながら登って行くと、ようやく頂上に着いた。
   下を見下ろすと、海辺のカフェも、アイスクリーム売りも何もない海岸。今オデッセイが泳ぎ着いたとしても違和感がない。
   それにしても、なんと言う美しい海!
   海の色が、場所によって違った色をしていて、空(快晴)の色も違うブルーだ。それなのに、すべてのブルーがコーディネイトされたかのように、ゴージャスなブルー世界を作っている。
   私の持って行った12色のシュミンケの絵の具パレットでは、とても出せない色だ。





石川和恵氏の『マルタ島に魅せられて』という本の中には、その美しさの秘密が語られている。地中海にはプランクトンが乏しいからだそうだ。「この海に流れ込む大河が少ないのと、陸から急傾斜でそのまま深海になるために、大陸棚がなく、プランクトンの繁殖には適していないのだ」と氏は書き、和辻哲郎が『風土』で「地中海はやせ海である」と述べたことに言及している。石川氏によれば、漁獲量は、地中海全域を合わせても、ノルウェーの二分の一とか。

帰国の日、私は出発までホテルの前の湾を散歩した。すると、漁師二人がマルタ語で何か語らっている姿を目にした。一人は、網の手入れに余念がない。話ながらも、手は忙しく動いている。もう一人は、のんびり座って語らいを楽しんでいる様子。

私は思わず「あなた方をスケッチしていいですか?」と英語で聞いていた。「スケッチされるともっとハンサムになりますよ。どうぞ」という答え。こんなに快く承諾して貰えるなんて嬉しい。(漁師さんまでバイリンガルなんてさすが)

そうしてささっと描いたのが下の絵。





描き終わったのを見せたら、喜んでくれた。私は、その後ダッシュでホテルに戻った。出発時間が迫っていたけれど、成田で買った日本の和菓子を渡したかったのだ。お世話になった人に出会ったら渡そうと買っておいたもの。海辺に戻ってきたら、漁師さんたちは、さっきと同じ格好で座っていた。「絵のモデルになってくれてありがとう、日本のお菓子です。どうぞ。」と渡した。

漁師さん、日本のおまんじゅうとかお団子とかなんて初めてで、なんじゃこりゃ?と言いながら食べてくれたかな?

Pocket

このカテゴリーの一覧へ