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メイド・イン・自国のラグジュアリー

NEWS BLOG 2018.09.26

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 ラグジュアリーに相当する言葉は日本語や中国語にないと言われます。漢字でラグジュアリーに該当する言葉を考えてみても、贅沢、奢侈、豪華・・・、どうもピッタリと当てはまるものがありません。

 日本では東京オリンピックを前に日本発のラグジュアリー、「メイド・イン・ジャパンのラグジュアリー」を世界に、というムーブメントが起こっているように見えます。

 ラグジュアリーな物を買うと言えば、かつては欧米ブランドがほとんどだったのが、洋服も靴も傘も、家具も家電もバスタブも、だんだん日本で作られた物が日本の富裕層のあいだで評価されるようになってきました。

 中国の富裕層動向を伝えるハルンレポートでは、ここ1年の富裕層の消費者物価指数が伸びていることを伝えています。

 レポートで調査しているのは以下の11分野です。

1)不動産 2)健康、3)教育、4)ラグジュアリー旅行、5)結婚式、6)時計・宝飾、7)アクセサリーと美容、8)クルーズ、プライベートジェット 9)ライフスタイル、10)酒・タバコ、11)自動車

  この中で気になるのが、酒と教育と自動車です。

 酒といえばボルドーやブルゴーニュの銘醸ワインや、スコットランド、アイルランドのシングルモルトがすごい値段で上がっているのかと思いきや・・・。もちろんそれはあるにせよ、昨年、酒全体の消費が12%増となっているなか、目立って貢献しているのは白酒(パイチュウ)など中国ドメスティックの超高級スピリッツ。30年物の貴州茅台酒(きしゅうまおたいしゅ)では40%も上昇しています。

 また教育は、スイスのボーディングスクール、アメリカのエグゼターなどへの留学は相変わらずあるものの、中国国内の高等教育への学費投資が大きく増えているのです。

 自動車については、現在のところはロールス・ロイス ファントムやテスラのような先端のラグジュアリーカーとEVへの投資が主流です。しかし今後を考えると、中国はガソリン車で世界の自動車メーカーとの競争することよりも、一足飛びにEVの世界で世界制覇を狙うと言われています。まるで通信の世界で固定電話の普及を飛び越えて、携帯電話が一気に普及したように。1周「見送り」することで、次のレースでの優勝を狙う戦略です。

 そうなれば中国の富裕層も、自国製ラグジュアリーEVを購入するという流れになるのではないでしょうか。このように21世紀も5分の20年めを迎えようといういま、ラグジュアリー消費が舶来(欧米)信仰から抜け出して、自国文化にルーツをもつ商品へと少しずつシフトしているように見えます。これまで世界のラグジュアリーの担い手ではなかったアジアなどの国が、自国の文化に高級イメージの源泉を求め、メイド・イン・自国のラグジュアリーを発信していく。この流れは、これから加速していくと思われます。

cover photo:Dmitry Dolgolaptsev “Luxury Life|Instagram”
※写真はイメージです。 参考:CPP-LUXURY



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