海外不動産インタビュー - 2ハワイ、そして世界の不動産
Luxury Marketing Interview 2017.01.23
第2回 ハワイ、そして世界の不動産
- 栗原
- リゾートのラグジュアリーホテルで、ヴィラを造って、そこに投資してもらってホテルを造るというビジネスモデルがありますよね。アマン・リゾーツのような。以前にハワイ島のフォーシーズンズ・フアラライでゴルフ場のロッカーに入って行くと、けっこう日本の方の名札があって驚いたことがあります。あそこは7億ぐらいするのではないですか?リゾートの別荘に7,8億投資する日本の方がけっこういるんだというのが驚きだったわけですが。
- 大橋
- あそこは30人くらい日本の方が買っていらっしゃいます。われわれも親交があって弊社のお客様もフアラライリゾートをご購入の方はいらっしゃいますよ。
- 栗原
- そうなんですか、素晴らしい。日本の方でオアフ島でなく、ネイバーアイランドの物件を買われる方の傾向というのはなにかありますか?
- 大橋
- ネイバーアイランドだと、飛行機の乗り継ぎなどありますので、そういうのを苦でなく、むしろ静かな所がいいという方。オアフ島は人が多いし、あまり知っている人に会いたくないとか、そういう方々ですね。あとはどちらかというと、フアラライリゾートもそうですけど、莫大な資産を持ってる方が買っていらっしゃる。で、そういう方はオアフ島にもお持ちのケースが多いですね。弊社のお客様でフアラライを購入された方も、オアフ島にも持っていて、そこを購入しているので。
- 栗原
- ハワイが大好きな大富豪という感じですね。
- 大橋
- あとゴルフが好きな方ですかね。特にフアラライは。ハワイ島だけに限らずですけど、企業オーナーの方でハワイに行ってゴルフを楽しんでという方は多いですね。
- 栗原
- いま新しく造られてられているところはどういうところがありますか?このパネルのWARD VILLAGEというのは、どのあたりですか?
- 大橋
- こちらはカカアコ地区というエリアの、7万3千坪の広大な敷地をハワード・ヒューズというディベロッパーが開発しています。1社でこれだけ大きな開発をやるというのは、オアフ島ではまずありえなかったという案件です。いま現状はWAIEAというコンドミニアムが去年の11月に竣工をむかえて建ちました。それ以降は今年の夏にANAHAというのが今年の夏に引き渡しをむかえて。15年という長い期間をかけて完成してゆきます。約20棟のコンドミニアムです。
- 栗原
- アラモアナにも新しいのが確か建ちますよね。
- 大橋
- アラモアナはPARKLANEというもので、今年の夏から徐々に引き渡しが行われます。
- 栗原
- WARD VILLAGEに20棟建つ、そこに想定されているのは日本の方も多いんでしょうね。
- 大橋
- 日本の方もですけども日本の方だけではないですね。アメリカ本土の投資家であったり、現地の居住者であったりです。マーケット自体も全体の2割が海外の方で8割がアメリカ人なんですよ。そのうち半分が現地の売買で半分が本土からの売買ですね。で、WARD VILLAGEもそういった構成になってくると思います。コンドミニアムによって特徴があって、海沿い、オーシャンフロントに建つものは価格帯が高くて大きいコンドミニアムですね。平均4ミリオン前後します。
- 栗原
- 4ミリオンは大きいですね。日本のお客さんもそのクラスを?
- 大橋
- そうですね。弊社のお客さんもお買いになられています。
- 栗原
- それは別荘プラス投資ということで買われるんですか。住むわけではないですよね。
- 大橋
- そうですね、住むわけではなく、どちらかというと資産分散目的で。
- 栗原
- 分散投資というのは場所を分散ということですか?
- 大橋s
- そうですね。場所を分散です。
- 栗原
- するとニューヨークにも購入したり。
- 大橋
- そういう方もいらっしゃいますね。
- 栗原
- フィリピンにも買いましたとか。
- 大橋
- 東南アジアは少ないですね。われわれからご購入いただいているお客さまだとヨーロッパ、フランスとかにもお持ちの方がいます。
- 栗原
- フランスだとアパートメントということですか。
- 大橋
- そうですね。アパートメントです。
- 栗原
- やはりヨーロッパだとハワイのコンドミニアムのようなタワー型というのはないですものね。
- 大橋
- そうですね。とくにWARD VILLAGEにできているコンドミニアムはニューヨークに最近できているようなモダンな感じの外観です。ワイキキはご承知のように古く、1960年代70年代に開発されて海沿いはほとんどホテルになっています。そういった中で今回のWARD VILLAGEはオーシャンフロントでリゾートとしても人気があるエリアですし、ショッピングの中心アラモアナセンターにも歩いていける距離ですので、投資としても魅力的なエリアだと思います。プラス、街全体ができあがると約20棟コンドミニアムになるわけですが、一階部分は9300平米が商業施設になる予定です。決まっているもので言うとWAIEAというコンドミニアムの1階にNOBUが、もともとハレクラニの前にあったんですけど、そこから移転しました。
- 栗原
- もう移転したんですか。
- 大橋
- ええ。あとAEOというコンドミニアムの1階にはホールフーズマーケットができる予定です。ホールフーズマーケットも他に候補地があったみたいみたいですけども、ホールフーズ側も将来的なことを考えて、自分たちのお客様になるような方々がWARD VILLAGEに集まるのではないかと判断したようです。アメリカではホールフーズができることで周辺の不動産価値も上がると言われているんですね。ですのでホールフーズがアラモアナでなく、こちらにきたことが大きなニュースになっています。
- 栗原
- そうすると、これからオアフ島はワイキキからカカアコに中心が移る感じですね。
- 大橋
- そうですね。おっしゃるとおりです。中心が移ってくると思います。
大きな一軒家から便利なコンドミニアムへ
- 栗原
- 以前に聞いた話ですが、ワイキキはもうインフラが古くなってきているということですよね、そうするとこのカカアコのほうに今後移っていらっしゃる方もいるんでしょうね。
- 大橋
- そうですね。いらっしゃいますね。あとは現地の方でカハラとか大きなお家、一軒家にお住まいの方で、お歳をめして手入れが面倒だということで、便利な、高級なコンドミニアムに、ダウンサイジングですね、そうやって移ってくる方もいらっしゃるようです。
- 栗原
- やはり住宅機器も最新のものが入っていれば、快適さもぜんぜん違うでしょうから。
- 大橋
- そうです。あとWAIEAというコンドミニアムもそうですけど、アメニティが充実していますので、一軒家でできることがコンドミニアムでもできるんです。たとえば共有部分にインフィニティプールがあったり、ジムがあったり、バーベキューができるコーナーがあったり。あとはみんなでシェフを呼んだりケータリングをするとか、シアタールームがあったり。カハラとかの高級住宅地でおうちの中に、そういうのを造ってた方もいらっしゃったと思うんですが、そのままこっちでも楽しめる。それと、ゲストスイートがありますので、たとえば誰かが泊まりに来たときにお泊りいただくということができるんです。
- 栗原
- スパもありますか? お風呂は日本の方に人気ですよね。
- 大橋
- ありますね。ジャグジーも。あとは最近のコンドミニアムはお部屋のバスタブも大きくて広々としていますね。
- 栗原
- ああ、内風呂も大きくなっているから。 このWARD VILLAGEはいま買えるところはあるのですか?
- 大橋
- ええ。全部で第5フェーズまで販売されるのですが、いま第2フェーズまでスタートしていて、昨年11月に竣工のWAIEAというコンドミニアムと、今年の7月に竣工のANAHAというコンドミニアムが売られています。第1フェーズの販売が2013年12月に開始しているんです。第2フェーズは一昨年ですね。2015年の夏にAEOというコンドミニアム、CYLINDER(シリンダー)という丸い、円柱型のコンドミニアムが販売開始しています。昨年は特に新しい販売はなかったんですが、今年の夏まえには新たなプロジェクトが始まる予定です。
- 栗原
- 2013年スタートで15年ということは、2028年に全体像ができるということですね。
- 大橋
- そうですね。ただ日本と違って工期が延びるケースもあって、契約自体も契約して5年以内に完成しなかったらキャンセルできるとか、猶予が与えられています。当然そこでキャンセルした場合は、支払った手付金とかは戻ってくるんですけど。
- 栗原
- そういえばハワイは工事中に遺跡が出てきたとか言って、止まっちゃうことがありますよね。
- 大橋
- そうですね。契約の中にそういった骨、人骨が見つかった場合は考古学調査を入れる、ストップします、とあります。
- 栗原
- ストップするけれどもまた再開するんですよね。
- 大橋
- ええ、再開します。ただそれが出ると1ヶ月2ヶ月遅れるということです。
サザビーズというブランドの強さ
- 栗原
- サザビーズ インターナショナル リアルティというのは、オークション会社のサザビーズの不動産部門と考えていいのですか?
- 大橋
- いえ、厳密に言うとオークションはサザビーズジャパンという会社が日本にありますので、会社はちがうのですが、オークションの方とわれわれはお付き合いがありますから、お客様のご紹介だとかがあります。われわれのお客様でもオークションのサザビーズだと思って問い合わせがありまして、絵を売りたいだとかいう問い合わせがありますので、そういった場合はサザビーズジャパンに繋いでいたち、その逆のケースもあります。不動産を探しているという問い合わせがオークションのほうに入ったり。
- 栗原
- 御社は、社名がリストインターナショナルリアルティ株式会社で、社名にはサザビーズは入っていないですが、リスト サザビーズ インターナショナルリアルティというのはブランド名ですか?。
- 大橋
- そうですね。そちらはブランド名になります。
- 栗原
- オークション会社のサザビーズのブランド名をいただくことのメリットというのはどういうものですか?
- 大橋
- やはりオークションのサザビーズをご存じの方はかなりの資産をお持ちの方ですから。
- 栗原
- ブランドの力があるわけですね。
- 大橋
- ハイエンド層には認知のあるブランドです。
- 栗原
- そうですね。 逆にハイエンド層にしかわからないですよね(笑)。
- 大橋
- そうかも知れません(笑)。3年前にリブランドしまして、いい物件リストという、われわれがもともと持っていたブランドから、リスト・サザビーズ・インターナショナル・リアルティに変更しました。それで、そのときからハワイに力を入れてハワイの現地のサザビーズの権利も取得したんです。それから現地の管理会社を買収したり、不動産会社を買収して人数を増やしてきています。市場規模も今年度はハワイ州で3位を目指しています。あとは今後、東南アジアへも進出する計画でシンガポールにこの3月現地オフィスを構えて。
- 栗原
- ああ、そうですか。 日本の方多いですものね、今シンガポールは。
- 大橋
- そこをアジアのヘッドクォーターにしまして、われわれはもともとフィリピンでサザビーズの権利を持っている所を買収しまして、フィリピンもリスト・サザビーズ・インターナショナルに変えまして、現地30人くらいで営業しています。われわれは大手ディベロッパーのようなブランドでなく、サザビーズ自体が不動産仲介ブランドですから、現地では仲介案件をしながらそこで情報を得て、開発案件の情報をとってきて、将来的には、日本ではリストは開発も行っていますので、海外でも開発をできればと考えています。
- 栗原
- ディベロッパーとしてもなさりたいという計画なんですね。
- 大橋
- はい。だいぶ先の話になるとは思いますが。うちの強みとしてはリストグループ自体、日本ではマンションを造っていますし、収益物件の売買もやりますし、不動産証券化もやりますし、あとはアセットマネジメントや、プロパティマネジメントも行っています。規模は小さいんですけど、いろんなことができるようになっているので、それを海外で展開していこうと。
- 栗原
- そうですか、それは楽しみですね。 ハワイとかシンガポールやフィリピンにラグジュアリーコンドミニアム、リストタワーができる日を待っています。今日はどうもありがとうございました。