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ゼロ金利は長引く見通し?分散投資で守って増やす資産運用法

Shirotaromaru 2021.01.24

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ゼロ金利政策はいつまで?

銀行預金の利息がほとんどつかなくなって久しいが、このゼロ金利政策はいったいいつまで続くのだろう。

バブル崩壊後の景気後退にあえぐ中、日本銀行が財政政策の1つとしてゼロ金利政策を導入したのは1999年2月のことだ。つまり、2021年の2月でなんと22年が経過することになる。
ITバブル期や景気回復期に一時解除されたことはあるものの、世界金融危機などを経て今なおゼロ金利政策は継続されている。世界景気の減速を受け、金融緩和の流れは欧米主要国でも続いている。

新型コロナウイルス感染拡大による景気減速懸念も加わり、足元の景況感は不安定さが増すばかりだ。
1月5日に世界銀行が発表した2021年の世界経済成長率の見通しは、前回の発表から0.2ポイント引き下げられた4%となった。 2020年のマイナス5.3%より回復するものの力強さはない。またこの4%という成長率は新型コロナウイルスのワクチン供給が進み、感染が縮小することが前提だ。 もしワクチンが普及せず感染が縮小しない場合は1.6%に下振れする恐れがあり、最も深刻な状況に陥った場合はマイナス0.7%まで落ち込むとの予測もされている。
2021年の日本の経済成長率についても2~3%程度と予測するエコノミストが多い。経済活動が低迷する中では物価が上昇する可能性も低く、日銀の金融政策は現状維持の姿勢が強まるとみられ、ゼロ金利政策は当面続く見通しだ。

ゼロ金利の中で資産は運用できるか

低金利の中、1月現在での大手行の普通預金金利は0.001%だ。 実際の金額で説明すると、1000万円を1年間預けても80円(税引前100円)の利息しかつかないということだ。 ネット銀行の中には条件付きで金利を上乗せするケースもあるが、銀行預金では資産を「運用」することはできないのが実情である。

ご存知のように、低迷感が強い実体経済と相対的に株式相場は上昇を続けている。1月初旬に日経平均株価は30年ぶりの高値を更新した。
2020年の株式相場はコロナショックの影響で乱高下したが、年間を通してみると上昇率16%という高い数字をたたき出した。 1000万円を日経平均株価連動商品に投資していたとすると、単純計算では160万円値上がったということになる。

株価上昇の理由はさておき、ここでは投資をする上での「リスク」について再認識したいと思う。投資を考える際の「リスク」は一般的な意味とは異なり、「価格変動の幅」という意味だ。

値下がりリスクを恐れ、低金利を承知で銀行預金に預け続けている方も少なくないだろう。確かに資産を運用するということは、「リスク=価格変動の幅」を負うことにつながる。しかし将来のインフレへの備えとして、物価上昇に耐えうる資産運用は最低限必要だと言われている。
「リスク」を正しく理解し、価格変動の幅を抑えながら運用をするにはどのような方法があるだろうか。



資産運用の第一歩「分散投資」

「Don’t put all your eggs in one basket.=全ての卵を一つのカゴに入れてはいけない」。米国に古くから伝わることわざで「アクシデントが起こった時に被害を分散できるようにしておけ」という意味である。リスクを抑えるためには、投資対象を複数に分散するべきだという投資の格言としても広く知られている。
価格変動の幅を抑えるためには、異なる値動きをする投資対象に投資をする「分散投資」が効果的だと考えられるからだ。

分散投資の手法は大きく分けて三つある。簡単に説明していこう。

①投資対象の分散
値動きが異なる商品に複数投資することで、価格変動リスクを抑える効果がある。一般的には株式、債券、不動産、投資信託、保険などで、同じ商品分類でも業種や商品性などによってパフォーマンスは異なる。

②投資対象国の分散
信用リスクの低い先進国の日米欧などに加え、成長率の高い新興国などにも投資を分散することで、地政学的リスクや為替リスクの軽減に役立つ。

③時間の分散
いつ投資をするかによってパフォーマンスは変化する。相場上昇時に投資をスタートすると、値上がりしたものを高値で買うことになるが、買うタイミングを複数に分けることで高値での買付リスクを抑えることに役立つ。積立て投資は価格が高い時には少ない口数を、逆に安値の時には多い口数を買付できるため平均取得コストを下げる効果がある(ドル・コスト平均法)。

【投資対象と投資地域の分散投資効果】




出典:金融庁ウェブサイトhttps://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/knowledge/basic/index.html

【時間分散(ドル・コスト平均法)の効果】




出典:金融庁ウェブサイトhttps://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/knowledge/basic/index.html


まとめ

このように、投資対象や投資タイミングなどを分散することで、リスクを抑えながら資産運用を行うことは可能なのだ。高いリターンを望むなら、高いリスク商品の投資割合を引き上げる必要があるが、安全性を重視するならリスク資産の割合を少なく調整することで安定的な運用も可能となる。

富裕層の顧客向けには売買手数料を割引くサービスや、オーダーメイドの債券を販売している金融機関もある。昨今は既成の投資信託でもノーロード商品が増えているため、選択肢は以前より豊富になってきている。

ご自身の大切な資産を守りながら増やすために、まずはどの程度のリターンを必要とし、どの程度のリスクを許容できるかを知るところから始めてみてはいかがだろう。「リスク」を正しく理解し、長期的視野での分散投資が資産運用の成功を導く鍵となるのではないだろうか。
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