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ランボルギーニとカブトムシ───君が好きなら我も好き

Mimi 2026.09.03

夏休み、いつものように家族で別荘に行った。


別荘に行くときにはカイエンGTSで行く。助手席の私は、息子の運転のキレの良さに感嘆。「すごいね。こんなに、上手に追い抜きが出来て」と褒めたたえる。彼によるとカイエンだから出来ることで、普段近場に使うレクサスではこうは行かないのだそうだ。


しょっちゅう会っている息子だが、あまり長く話す機会はない。だが別荘に行くときには、数時間乗っている間とりとめのない近況のおしゃべりをする。


そういえば、息子は最近ガヤルドを買った。実は、ガヤルドには思い出がある。以前マドリッドに行った時、駐車場に数十台車がとまっていた。その中で特別なオーラが漂う一台。絵の中の女性の頭上に金色のリングが描かれていると、マリア様だとわかるように、私にはその車の上に金色のリングが見えた。ガヤルド!なんて美しい車!


でも、車音痴の私は、今回初めてガヤルドがランボルギーニだと知った。ランボルギーニって、お金持ちの乗る車じゃないの?息子が「スーパーカーだよ」と言った時には、もっと驚いた。スーパーカーって公道を走れるの?多分わたしの頭は、F1のレーシングカーとごっちゃになっているんだけれど。二人乗りだそうだ。「じゃあ、家族で乗れないじゃん。」と言えば、「そういう車なんだよ。」とヘイキな顔をしている。私の後ろのチャイルド・シートから孫のゲンちゃんが、「パパとぼくでこの前富士スピードウェイに乗りに行ったんだよ。」と嬉しそうに言う。お嫁の真由ちゃんも、どうぞご自由に、という感じ。尊敬するね。


ガヤルド、ネットの写真より


息子はベンツのAMGの63(ロクサン)というのをすごく愛していたのに、新しい愛の対象が出来たのか。ロクサンは、車庫の出入りに、ブオーブオオオオ、ブオーブオオオオと、とんでもない音がする。出発も帰宅も、音ですぐわかる。その音さえも息子には愛おしいらしい。「ロクサンのアクセルをね、1センチ踏むと時速100キロ出るんだ。2センチ踏むと200キロだよ。」確かに、息子に乗せて貰った時、信号待ちが青に変わった途端、飛び上がるように走りだすので、肝がつぶれた。


「ガヤルドも、うるさいの?」と訊くと、「もっとすごい音がするよ」ですって。アクセルも1センチ踏むとじゃなくて、8ミリ踏むと時速100キロ出るのだそうだ。車庫を探すのは大変だったらしい。うちの大きな車用の車庫には既にカイエンが入っているので無理。でも、ガヤルドは重すぎて普通の機械式には載せられない。管理人付きの屋内駐車場を見つけても、車高が低いので、段差で無理。幸い近所のスーパーカー専用の駐車場に空きを見つけたとのこと。


「すごい車ばっかり入っているんだ。同じ人が黄色いフェラーリばかり4台並べて入れていたりする。」


ファントム、ベンティガ、マクラーレン・・・、同好の士の車のたまり場を見つけて幸せな息子を見て、私も嬉しい。私と息子では、趣味が違うけれど、好きな物にこだわりがあるのは一緒だから。私がゴールドのStyle23のハープを手に入れた時に感じたワクワク感を彼は車で味わっているのね。


ふと源氏物語を思いだした。光源氏もクルマ好きだった。と言っても牛車だが。彼の地位にふさわしい枇榔毛(びろうげ)の車。お忍びで女性の所に通う時の、目立たない網代車など。当時も人々は車で持ち主を値踏みし、それが原因のエピソードも生まれた。光源氏が千年後の現代に生きていたら、車好きなんだろうな。お忍びで彼女の所に行く時には何に乗るかな?そして今から千年後にはどんな車が流行っているのだろう、なんて想像するのも楽しい。


さて、おしゃべりしているうちに、ようやく別荘に着いた。


別荘の庭は、植木屋さんが完璧に仕上げてくれているし、入口には、ご近所の恭子さんがお花を絶やさないようにしてくれている。着いた瞬間から、快適な家である。


別荘の庭



息子が持ち込んだのは、ゲンちゃんのカブトムシの籠。そういえば、30数年前に、息子とこの別荘で夏を過ごした時にも、飛んできたカブトムシを飼ったっけ。ある時逃げ出して、結局見つからなかったけど。虫が苦手な私は、もう面倒を見なくて良いので気楽だ。


と思っていたら───とんでもないことは、別荘から東京に戻って来てから起きた。息子がそのカブトムシの籠を私の家に持ってきたのだ。ハワイに旅行する間、面倒を見てねと。


昔は、スイカをあげたが、今はゼリーをあげれば良いらしい。でも、この子は全然動かないし、餌も食べない。何か臭いし、死んだらどうしようと心配でたまらない。すると持つべきものは友、百合子さんが、育て方のサイトを知らせてくれた。その通りに、土を捨てて、ペーパータオルを霧吹きで湿らせて敷いたら匂わなくなった。餌も夜の間に食べる。


私の回りに虫好きは皆無。でも、「今日のカブトムシ」の写真を友達にLineで毎日送る。餌のゼリーの色が違うだけで、ほぼ変わらないのだが。激励の返事が嬉しい。



うちのカブトムシは、バナナ味のゼリーが好き


元同僚の恵さんの孫の男の子は、ベランダの虫かごでダンゴムシを飼っていて、土をほじくって「ほら」と見せてくれるそうだ。彼女は虫嫌いだけど、そのうち、彼女の方から「ダンゴムシ生きてる?」と訊く様になったとか。「孫かわいさかなあ」と恵さん。


そこで、「ダンゴムシ孫が好きなら我も好き」と私が書けば、恵さんからも「最後の句微笑ましくて我も好き」と返って来た。二人で他愛もない句を作っては送り合っている。


それを機に句は次々出来てしまう。


ランボルギーニ君が好きなら我も好き

カブトムシ孫が好きなら我も好き


人生を平穏に暮らす極意はここにある。