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アメリカ英語とイギリス英語 その違いにある文化的背景とは?

焔(Homura) 2021.05.21

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コロナ渦が続く中自宅で過ごす時間が多くなってきたこともあり、海外旅行もこれまでのように「気が向いた時に出発」そんな生活環境はすっかり変化してしまいました。

新しい映画があっても行けない、そんなステイホーム状況の中で自分時間の楽しみといえばNetflixなどの動画配信サイトで海外ドラマを見ることでしょうか?

私自身長い期間をアメリカで過ごしたこともあり、どうしても無意識にアメリカ映画やドラマを選んでしまう傾向があります。

アメリカで制作される作品の方がイギリスと比べて多いということもありますが、それ以外にもアメリカ英語とイギリス英語の違いも影響していると思います。

私自身イギリス英語の場合聞き取れないということではないのですが、相当神経を集中しないと完全に理解することはできません。

実は比べてみるとたくさんの違いがあるアメリカ英語とイギリス英語とその違いはどこから生まれたのでしょうか?

番号が同じでもスペルが異なったり、綴りが同じでも読み方が違うケースもあれば使われる「単語」そのものが異なるケースも少なくありません。そこには文化的な背景も存在します。

とにかく省略が好きなアメリカ人

これは日本語でも同じですが、 アメリカ人は言葉を省略するのが大好きです。その結果生まれるのが時としてイギリス英語話者がアメリカ英語を理解できないと言う ことすら起きてしまいます。

日本で学ぶ文法により近い文章で話そうとするのがイギリス英語であれば、アメリカ英語ではその真逆になります。

そこにはアメリカ人の国民性も大きな影響を与えていると思いますが、とにかく何でもかんでもせっかちなのがアメリカ人です。
特徴的なのはアメリカでは文章から一部の品詞を省かれることが少なくありません。

全ての事にきちっとしたいイギリス人だから一字一句きちっと答えるのが好きなのでしょうか?
私自身ロンドンに滞在する時にはなんとなく感じる「窮屈さ」はアメリカで過ごす時間に比例してくるのではないかと思いました。

アメリカの辞書とイギリスの辞書には多くの差異が存在します

アメリカ英語のスペルには「独立精神」を感じることができます。 では同じ英語なのになぜ辞書で大きな差異が現れてしまうのでしょうか?

その理由は辞書を編集する著者の「言語に対する観点」の違いが 大きく影響しています。

ちなみにイギリスの辞書を編集しているのはあらゆる英語を集めたがるロンドンの学者です。( なぜか Oxford ではありません)

それに対してアメリカの辞書はノア・ウェブスターという辞書編集者よって作成されています。 アメリカ辞書の特徴はあえてイギリス英語のスペルと差をつけようと言うところにあります。

ウェブスターが目指すところはかつてのイギリスルールから脱却して「独立した」アメリカを象徴するところにあります。

例えばスペルの特徴としては
・color イギリス英語ではcolour
・honor イギリス英語ではhonour
などフランス語の影響を受けたイギリス由来であるスペル’u’をあえて外しています。

また語尾に関しても同じでイギリス英語では’-ise’と表記されるものはアメリカ英語では‘-ize’となります。
この根拠は編集者であるウェブスターがアメリカ英語のスペルは発音する時の音を反映するべきである、という考えによるものです。

個人的にはイギリス英語でのスペルはほぼ書くことができない私ですが、アメリカらしい合理的な考えが明確ですね。

アメリカ英語とイギリス英語が反映された文化的背景

英語圏の人が把握している以上に実は英語はフランスから影響を受けています。特に1700年代イギリスで流行ったのがフレンチスタイルのスペルです。

ところが大西洋を越えた遥か彼方のアメリカにはこの流行が伝わることはありませんでした。

また文化的な背景というのも言語に大きな影響を与えています。 特徴的なのは食べ物に関する英語表記の違いでしょう。

例えば日本で言う「コリアンダー」ですが
イギリス英語ではcorianderと表記されますがこれもフランス語から派生したイギリス英語 となります。 ところがアメリカではcilantroと表記されます。

これは隣の国であるメキシコで話されるスペイン語から派生したアメリカ英語になります。
確かにメキシコでは「シラントロ」と発音されますので、国境を接しているという影響は大きいのかなと個人的にも思います。

このようにアメリカ英語とイギリス英語は全く異なる言語に近い部分があると言えます。私自身アメリカとメキシコの国境で半年以上暮らしていましたが、その地域の人たちはスペイン語と英語をごく普通に話します。

それも場合によっては一つの文章の中にスペイン語と英語をミックスした言葉が国境地域では普通に話されたりしていますので驚きますね。スペイン語spanishと英語englishを合わせてapaglishと呼ばれたりもします。

このような背景がありロンドンで学ぶ英語とニューヨークで学ぶ英語はこんなにも違ってきます。
もちろんそれ以外の英語圏(オーストラリアやニュージーランド他)にも文化的背景に基づく言語の進化がありますので、一口に英語圏と言っても簡単に一括りにすることはできません。

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