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令和の幕開けと日本の富裕層

NEWS BLOG 2019.05.06

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 5月1日。平成が終わり、令和の新しい時代の幕開けとともに新天皇即位の儀式が行われました。思えば、これだけ大々的に皇室の行事が全国、全世界に報じられるのは、新天皇(当時の皇太子)ご成婚の時以来ではないでしょうか。

  新皇后をはじめとする女性皇族は白のローブ・デコルテにダイヤモンドのティアラとネックレス。新天皇、皇嗣がホワイトタイに勲章という出で立ちで入場される様は荘厳そのものでした。

  即位の儀式では、儀式そのものの重要性はもちろんのこと、その最上級のフォーマルが醸す非日常性に、だれもが言いしれぬ高揚感を覚えたのではないかと思います。特にここ数年は大きな災害が重なり、皇室の装いも国民に寄り添う姿勢を表されるかのように日常着であったため、尚更そのような感じを受けたものです。

王家の副葬品から始まった
「ラグジュアリー」


  ところでラグジュアリーという概念はもともと王家の副葬品から始まったと言われています。集団の中で特別な人を際立たせるために、黄金などの希少な材料を使って、その集団の匠の技を結集したものを拵えてお供えする。

  前回 日本の富裕層ビジネス メーカーズ編でお話ししたように、ラグジュアリーは職人文化であって、だから富裕層には職人文化に対するリスペクトがあると考えるのですが、その職人文化は、王家やそれに準ずる人々に仕えるためのものでした。

  だから、今や時代が下って、ラグジュアリーの対象が王家からセレブなどに移ってきたとしても、ひとたび王家、皇室のセレモニーのような最上級のフォーマルに接すると、本能的にラグジュアリーに対する畏敬の念が呼び覚まされるのです。

  富裕層インタビューをしていても、50代以上のラグジュアリーな女性でフォーマルなパーティを望む方は多いです。ハイジュエリーを着けてドレスを着て、思い切りお洒落をしてパーティに参加したい。でも、そんな場所はもうほとんどなくなってしまった。(天皇・皇后両陛下も出席されていたチェリーブロッサム・チャリティーボールがそのような役割を担っていましたが、ホテルオークラ本館の今年9月開業で、また復活するでしょうか。)

  そんな思いを抱いていた日本の富裕層の女性たちはきっと新天皇即位の儀式を、誰よりも眩しいものと見ていたことでしょう。

日本の人口減と
富裕層人口増


  時代が平成から令和に変わりゆくいま、日本の人口は減少し、高齢化社会は一層進行すると言われています。

  しかし、そのいっぽうで富裕層人口を見てみると、どうでしょうか。この分野で標準的になっているフランスのコンサルティング会社CapGeminiが発表する国別富裕層人口統計で、日本は直近2017年度では316万人とアメリカに次い世界第二位。さらにその前回2014年度の統計で230万人。人口は減少傾向ながら高齢化が進み、富裕層は増えているということがわかります。

  このことはともすると格差の拡大というネガティブな側面でしか語られないようですが、むしろこれをシニアのラグジュアリー市場拡大へのチャンスと見たほうがよいのではないかと思うのです。

  まして時代は令和へと移り、皇室のセレモニーに国中が湧いている時です。ラグジュアリーへの原点回帰で、覚醒した富裕層の要望に応えるべき時が来ているのです。



cover photo:Richard White “The Devonshire tiara”
※写真はイメージです。

NOBLESTATEを運営するランドスケイプでは210万件の富裕層データベースをもとに、ラグジュアリー消費者のネットワークを通じた富裕層サーベイ、デプスインタビュー調査を行っています。詳しくはこちらからパンフレットをダウンロードください。

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