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ヒラリーさんの香港ガイド流出で 考えたこと

NEWS BLOG 2016.10.19

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 ウィキリークスが暴露したヒラリー・クリントンさんのメールに、香港のショッピングガイド情報があったというニュース。ショッピングガイド? さてどんなガイドなのか。早速見てみると、これがけっこう参考になりました。

 何の参考になるかというと、欧米の富裕層がアジアを旅するときに、どんなものに消費欲を刺激されるのか、ということです。

 このショッピングガイドを作ったのはクリントン大統領時代、ホワイトハウスでアジア管轄のマネージングディレクターを務めたナンシー・ハーンリヒ・ボーエンという女性。2011年ヒラリーさんが香港を訪れる際、事前にここがおすすめ的なショッピングガイドを作り、渡していたようです。

 ガイドを見ると、まずファッションではお馴染みの上海灘(シャンハイタン)が載っています。「チャイニーズスタイルを現代に移した美しいファッションで、ぜひ訪れるべきお店」とボーエンさんは絶賛しています。

 宝石では香港発の巨大チェーンで香港証券取引所に上場している周大福(チョウタイフック)。また同じくファミリー経営の宝飾店でマンダリンオリエンタル内にあるK.S. Sze & Sons

 上海灘はポピュラーですし、日本の観光客も訪れるとして、周大福やK.S.& Sze & Sonsは日本の観光客はあまり訪れないのではないでしょうか。しかし、欧米の人たちにはこれぞ香港というべき宝石商と映るのでしょう。つまりわれわれ日本人は欧米人が反応するアジアのエキゾチズムにあまり反応しません。

 さらにボーエンさんは個人の宝石商を2人リストしており、Kai-Yin LoとSandra D’Auriolにアポを入れることをヒラリーさんに薦めています。

 この2人めのSandraさんという方は残念ながら、この後2014年にビバリーヒルズの美容整形外科を訪れた後、ビルの屋上から飛び降りるという哀しい亡くなり方をされているのですが、インド生まれのイギリス人デザイナーで、かなりチャイニーズテイストの濃いデザインのジュエリーを作っていた人のようです。

 こちらに過去の展示会の案内が残っていました。

 Kai-Yin Loさんは香港生まれのジュエリーデザイナーで、英ケンブリッジ大で西洋史を学び、東西の文化的遺産の融合を自身のジュエリーの中で表現している方です。

 こうして見ていると、East meets Westというか、アジアと西洋のセンスが絶妙にミックスされ、エキゾティズムを漂わせたブランディングをしているところをボーエンさんは推していて、これこそ欧米のエスタブリッシュメントがアジアの国で出会いたいポイントなのだろうと思うのです。

 ヒラリーさんが大統領になられるのかどうかはわかりません。が、今度ヒラリーさんが日本を訪れるとき、日本通の側近が”ぜひ訪れておくべき”ショッピングガイドを渡すとすると、そこにはどんな店の名前が並ぶのでしょうか。ちょっと楽しみな気がします。

参照サイト:WWD

cover photo: AsarNusiphan “chow tai fook ”
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