遊びをせむとや生まれけむ

Mimi 2020.02.18
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子供を歌った梁塵秘抄のこの歌は、時代を超えて私たちの共感を得る。「遊ぶ子供の声聞けば我が身さへこそゆるがるれ。」無邪気に遊ぶ子供の声を聞いていると、つい自分もわくわくして体が動いてしまうよ、と歌は結ぶ。だが、見た目は大人でも、子供の好奇心、探究心を持っている人たちはいる。私の回りの「元」子供たちでホームパーティをした。

元祖「元」子供は、バイオリニストのみどりさん、作曲家の秀樹さんそして私。他は20代、30代の若者たち。ホンモノの子供の2歳の孫、ゲンちゃんも参加。

今回のお料理のテーマ国はロシアと決まる。ロシア料理は何にしようか、といつもの通りお料理の本を買い集めて、メニューを決める。ロシア料理を作ることになって初めて知ったのだが、ピロシキと言っても、いろいろな種類があるのだ。それにボルシチは赤いシチューのイメージだが、ピンクの冷たいのもある。是非食べたかったのは、以前ロシアに行った時においしかった、ロシア風餃子。シェフは、管理栄養士の智絵ちゃんで、メニュー作成からお料理まで任せておけば安心だ。

バイオリニストのみどりさんは、チャイコフスキーとラフマニノフを弾くのだと曲を選んでいる。

ロシアにこだわらないのが秀樹さん。サン・サーンスのバイオリン曲、ハバニーズをみどりさんと演奏希望。みどりさんは、サン・サーンスってフランス人なのに、と当惑気味。更に秀樹さんは、トルコのケバブを作ると言う。

まあ、良いじゃないの。メインがロシアなら。皆でワイワイ、おいしい料理を食べて、素敵な音楽が聴ければ最高。

ところが、パーティが近づくに連れて、みんなの気持ちがヒートアップしてくる。特に秀樹さんにはびっくり。某ホールで、外国からのピアニストのリサイタルがあり、そのプロデュースをした彼は、舞台挨拶をする予定で、自分の曲も演奏される。ところが開演5分くらい前に私は舞台下で秀樹さんに呼び止められた。一体何事かと思ったら、ケバブの話だった。長く肉を漬け込んだ方がいいので、早くからうちに来て良いか、という打診。ええっ!こんな大事な本番の直前に、ケバブの調理のことを考えられるなんて、何という大物、と半分あきれながら感心した。

結局秀樹さんは、パーティ前日から家に来て、ケバブの肉の仕込みをした。それまでに材料を用意するのは私の係。秀樹さんからLINE で長い必要品リストが来る。クミンやオレガノなど大抵の香辛料は家にあるが、Harissaとか、Bulgur、Pickled Banana Pepper なんて初めて聞く食材。更に、Bulgur は細かくなくて粗い物とか、トマトペーストは濃厚なものでなくちゃ、などとコメントが付く。富澤商店とアマゾンが強い味方になってくれた。

やはり前日からお泊りで活躍したのが智絵ちゃん。今年もニュージーランドのアンの家に伝わるナッティ・ケーキとフルーツ・ケーキを作る。(作り方は、「Eのつくアンのナッティ・ケーキ」参照。)ケーキに使うクリスタライズド・フルーツは私が前もって白ワインに漬けておいたので、すぐに焼ける準備が出来ている。

おいしく焼けたアンのケーキ

私は、食材調達の他、会場設営の準備。電子ピアノも買い替えた。お飾りのバナー作りも。藝大の先生の絵画講座では、その日の絵のお題を完全に無視して、パーティ―用バナー作りに励んだ。他の人たちが真剣にお題の絵と取り組んでいるので、罪の意識はあるのだが、パーティまでに完成させなければならないので仕方がない。それに藝大の先生からアドバイスをいただきたいし。

バナーの白い画用紙の台紙には、一枚ずつ違う色の絵の具を茶こしと歯ブラシを使ってスプレーしたみたいにし、そこに色の付いた紙を貼り、その上に英字新聞を文字の形にちぎったものを二重貼りした。



さて、パーティ当日、智絵ちゃんがシェフ、秀樹さんがスー・シェフ、私もパンのリース作りに忙しい。そして、次々料理が完成。いい感じ。秀樹さんのケバブも味見してみると、本格的だ。このままパーティがスムーズに進行すればいいのだけれど・・・でも、そうは問屋がおろさない。

実は、私は夕方に孫のゲンちゃんを保育園にお迎えに行くことになっていた。保育園から家に連れて帰ってくると、この匂いは、もしかして・・・?ゲンちゃんのお尻のあたりから妙な匂いが漂う。えっ、どうしよう!おろおろする。ウンコのおしめをどうやって替えよう。確か「おしりナップ」というのを息子夫婦が使っていたと思ったが、ちょうど切れていた。

とにかく、ゲンちゃんのおしめを脱がす。(この頃おしめはパンツ型なのだ。)おしりからカグワシイ匂いを発散させて、やるせなく立っているゲンちゃんを大人たちが取り囲む。「何で拭いたらいい?」と私。「トイレにウェット・シートと書いてあるのがありましたよ」と秀樹さん。あれは、トイレの掃除用だから、人間の肌には使えない。「そうだ、ギャツビーっていうのがあった」と私。「それはアルコールが入っているからスース―しますよ」と秀樹さん。その時「うるサラシート」という貰い物があるのを思い出した。みどりさんが「それでいいんじゃない?」と言ってくれたので、それで拭いた。一件落着と思ったら、おしめの前と後ろがわからない。どちらにも絵があって、一つの側には”Have fun!”と書いてある。大人たちは首を傾げる。それって、どっちということ?楽しいのは前?それとも後ろ?おしめをひっくり返してみたら「まえ」と書いてあったので皆で「ほっ」。ようやく、おしめ履かせ騒動が終わった途端に、ゲンちゃんのパパが帰って来た。

秀樹さんとみどりさんは合奏の練習を始める。素晴らしい名曲が奏でられる中で、ゲンちゃんとパパはプラレールを出して、ゴーゴー音を立てて電車を走らせている。音の洪水。「ぎゃああ、カオスだあ!」

そうこうするうちに、犬丸宣子さん、白井祥平さん夫妻がやって来た。犬丸さんは日本画家、白井さんは彫刻家。藝大出の立派な芸術家をこき使って申し訳ないのだが、私のバナーにリボンを通して飾って貰う。さすが芸術家、ぴったりの間隔で、良いリボンを選んで飾ってくれた。これでパーティらしくなった。

マジシャンの藤本さんも来た。私たちの右往左往をあっけにとられて見ている。彼はゲンちゃんにもマジックを用意して来てくれたのだが、ゲンちゃんはまだマジックを理解できるほどに成長していないので、興味を示さない。ごめんね、藤本さん。そのうち、大きくなるから待っていてね。

そんなこんなで、ようやくパーティが始まった。皆が参加してようやくパーティに漕ぎ着けた感じだ。


アップルチキン

ビーツとカッテージチーズのボール、クルミがけ

ロシア風餃子

牛肉のケバブ

ブルグル

チキンのケバブ (お皿はMimi作)

冷たいボルシチ

リースパン

智絵ちゃんのおいしいお料理が次々出てきて、秀樹さんが演奏したり、みどりさんが演奏したりする。終には秀樹さんとみどりさんの息のあったサン・サーンスとフォーレ。音楽愛がホカホカ立ち昇るような演奏だ。秀樹さんの伴奏は、みどりさんの演奏を引き立てるような弾き方で、聴いている方も引きこまれる。

ユキちゃんが仕事帰りに遅れてやってきて、さあ、もう一回カンパイと言う時には、みどりさんがさっと「カンパイの歌」を演奏。座を盛り上げる。プロの生演奏で「カンパーイ」なんてゴージャスの極みだ。

藤本さんは、カードマジックを披露。その鮮やかな手さばきに全員あ然とする。秀樹さんがカードを扱う技を見たいと言った。すると、ぱーっと扇形に並べたり、横に一列に美しく並べたり、難しい切り方をしたり、それだけで皆口が空きっぱなしだ。藤本さんが帰ってからも、あのカードマジックはどうやって出来たのだろう、種はどうなんだろう、と話は持ちきりだった。藤本さんは、小学2年の時にマジックに目覚め、ずっと精進してきたという。練習に練習を積んだ技は、見事というしかない。おまけにトークも素晴らしい。

音楽に、料理に、芸術に,マジックに、生まれながらの遊びの達人たちが一同に会したパーティ。またやりたーい!

追記
犬丸宣子さんと白井祥平氏の作品が見られるホームページとインスタを下記にご紹介します。お二人は、綿棒を猫の爪とぎ板に刺して動物の絵を作ることでも大人気の作家さんです。
2月18日から恵比寿の弘重ギャラリーで綿棒を使った猫たちの展覧会も催されます。




綿棒猫のインスタグラム
cottoncatcollection

犬丸宣子さんのHP
http://norikoinumaru.com/about.html

白井祥平氏のHP
http://shirai.com/pg130.html

白井祥平氏のインスタグラム
ssswhite3


我が家にある犬丸宣子さんの絵(100号の木蓮の絵)

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