聖夜に

Mimi 2019.12.26
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このブログをクリスマスの夜に書いている。書斎では暖房の静かな温風の音以外は、一切物音がしない。さっきまで孫のゲンちゃんが繰り返し聞いていた、屋根を開けるとオルゴールのジングルベルの曲に合わせて小人たちが動き出すおうちも、今は屋根が閉じられ、まさにSilent Night が訪れている。

 

オルゴールに合わせて動く小人たちに魅了されているゲンちゃん

 

屋根を閉めて、今年の役割を終えたオルゴール。来年もよろしくね

 

クリスマスのシーズンに町を歩いているとそこいら中でクリスマスソングが大音声で流れて来てうんざりしたのは、いつのことだったか。この頃は通りを歩いていても聞こえてこないのは、みんながうんざりして人気が無くなったせいなのか、それとも私が人通りの多い通りを歩くことがないせいなのか?

 

そういえば、大学の同僚が先日、「この頃の学生さん、『きよしこの夜』っていう歌を知らないの」と言っていたのを思い出す。「あんな、クリスマス定番の歌を知らないなんて!」とその時はびっくりしたが、聴く機会がないのかもしれない。

 

 救いの御子はみ母の胸に眠りたもう夢やすく

 

歌詞は古風で、「夢やすく」なんていう表現は、この歌以外では聞いたことがない。

 

原詩はドイツ語で書かれ、それの英語版がSilent Night である。

 

Silent night, holy night

All is calm, all is bright

Round yon Virgin Mother and Child

Holy infant so tender and mild

Sleep in heavenly peace

Sleep in heavenly peace

 

「夢やすく」に当たるのが、第一連の最後の歌詞、“Sleep in heavenly peace”。大きな違いは、英語版が命令形であり、「聖なる幼子(おさなご)よ、”heavenly peace”の中でお眠りなさい」と言っているところだ。

 

それでは“heavenly peace”とは何か。「天なる平和」とでも言えようか。北半球で言えば、冬の夜、星が静かに明るくまたたく天界を想像すると、そこには戦争も飢えも病気も憎しみも怒りもない、絶対的な平和が支配している。その平和の中でお眠りなさいと呼びかけているのだ。この幼子が将来は多くの苦難を受けることになる。せめて、母の胸に抱かれている今だけでも、母の愛、天の愛に包まれて幸せにお眠りなさい、と言っているのかもしれない。

 

キリストと限らず、わたしは幼い子が眠っている姿を見ると、思わず手を合わせてしまいたくなる。眠る子は皆何か神々しいまでのオーラを発揮していて、いくら見つめても飽きることはない。今眠っている子が属している、究極の平和な世界を間近に感じるような気がするのだ。

 

孫のゲンちゃんが眠っている姿を、なんとかとどめておきたくて、今年は二つの首を作った。拳くらいの大きさの石塑粘土のと、実物大に近いテラコッタのと。わたしの指先から生まれた眠るゲンちゃん。幸せにね、と祈りながら形づくった。テラコッタはクリスマスに間に合って焼きあがった。

 

石塑粘土で作った眠るゲンちゃん
王冠を被ったピンクのティラノサウルスの器もMimiの作

 

 

テラコッタで作った眠るゲンちゃん

 

そして、出来ることならば、すべての子供たちが現実の世界でも平和に包まれて幸せに生きて欲しいと願う。そんな時、とっても素敵な思いつきが浮かんだ。バイオリニストの中根みどりさんに頼んで、ゲンちゃんの保育園でクリスマスメドレーを弾いて貰ったらどうかしら、というもの。みどりさんは、イブに我が家でホームコンサートをしてくださることになっていたのだが、こんな素敵な演奏をうちの家族だけで味わうなんてもったいない、保育園のおちびさん達や先生にも聞いていただけたら、とふと思ったのだ。

 

保育園にも了解を得、みどりさんにも話してみたら、素敵なアイデアだと賛同してくださった。そして昨日のクリスマスイブ、みどりさんと一緒に保育園に行った。この保育園は、2歳児までの10人ちょっとしかいない小所帯。おちびさん達が喜ぶように、明るく軽快なクリスマスメドレーを選曲してもらった。ジングルベル、赤鼻のトナカイ、そしてあわてん坊のサンタクロースなど。

 

大抵の子供たちは、バイオリンの生演奏を間近で聞くなんて初めての体験だ。だから、みどりさんがバイオリンをケースから取り出した時には、何か怖くて泣き出してしまう子もいた。先生に抱っこされても泣き止まない。ところが、音楽が始まると、大喜びのニコニコ顔。

わあ、他のおちびさんたちも喜んだこと!手を打ちならし、体をゆらし、踊り出す子たちもいる。なんていう、元気のよい反応だ!先生方やお迎えのお父さん、お母さん、私も子供たちにつられて自然に体が動き、手を叩く。

 

ゲンちゃんと言えば、赤ちゃんの頃からみどりさんのバイオリン演奏で育って来たので、その素晴らしさは知っている。それにみどりさんが今日弾いているのは、ゲンちゃんのパパのバイオリンだ。「僕、こんなのしょっちゅう聞いてるんだよ」とでもいう風にひとり電車のおもちゃで遊んでいる。でも、みんなと違うことをしているようだけれど、ちゃんと耳をそばだてて聞いているんだね。ふふふっ、電車を持つ手の動きが音楽と連動しているよ。

 

200歳のフランス製のバイオリンも素敵な音を出している。

 

みどりさんに弾いてもらい、バイオリンもご機嫌

 

わたしの単なる思い付きから始まったけれど、子供たちも大人たちも、みんなが喜ぶ姿を見て、みどりさんも私も幸せな気分に包まれた。「また、保育園に行ってコンサートしましょうね。」と話しながら家に帰り、私が心をこめて作ったクリスマスディナーをみんなで食べた。

 

クリスマスディナーに合わせて焼いたリースパン

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