高級時計は結局これからも 売れ続けるのだと思います
NEWS BLOG 2017.04.19
最近インタビューをしたFさんは高級時計は全部売って、いまはアイフォンだけ。ロレックスやパテックや数百万の時計を何本も持っていたのに、全部売ったというのです。しかも200万で買って800万で売ったとか、高く売り抜けたという話です。なぜ売ったかというと高級時計というものがいま、その方の中では微妙なモノになっているそうです。つまりアイフォンで時間はわかる時代に、同じ時を知るための道具が贅沢であることが、恥ずかしいらしいのです。
一方で別の男性は500万でパテックの時計を買った話をされました。その方の中では高級時計は今なお、男性がステータスを表示する数少ないツールのひとつなのです。高級時計が売れなくなったとか、いや売れているとか、この話題になるといつも相反する話が出てきます。
ラグジュアリービジネスニュースのCPP-LUXURYがスイス時計のデータを出していますので、ちょっと、見てみたいと思います。
スイスの時計メーカーは今年の売上の見通しとして、業界最大の市場である香港とアメリカで売上が下がるだろうと見ています。またテロの恐怖からヨーロッパへの渡航が避けられているとも。
「さらにオンラインショッピングの隆盛で消費者が益々実店舗に行かなくなる」とMovadoグループ会長のエフレイム・グリンバーグ氏。「特に米国で重要な動きが見られます。この5年間デジタルへのシフトが加速し、店舗にお客さんが向かわなくなっているのです。また現在は在庫調整期間とも言えるのですが、在庫が減るのに時間がかかっています。消費者はオンラインに流れているので店側は店をもっと盛り上げ、ワクワクする場所にする必要があります。」
スイス時計の出荷数は今年1・2月、前年比で8%ダウン。目立って落ちているのは米国で12.4%。米国は去年も8%ダウンである。Movado Ebelなどのスイスブランドを擁する米国MGI社は年度末の1月で年間売上が1桁台低下との予想を発表。LVMHグループのHublotのトップ、リカルド・ガダルペ氏は米国での売上はここのところ横ばいだという。 「中国のようにメカニカルな高級時計が好きと言うのと違って、アメリカ人にはみんなが共通してもつ高級時計の文化がないのです。」
エルメスの時計部門の実質責任者ローラン・ドルデ氏はエルメスの店舗では売上は改善しているという。しかし様々なブランドを擁する企業では多くの市場で苦戦を強いられていて、特に米国は過剰在庫による売上の落ち込みが大きい。業界最大手のスウォッチ・グループはもっと楽観的な予想で2017年は前年比7-9%の伸びと予想する。
結局、高級時計は、買わなくなった人がいる一方で多くのファンに支えられていて、その数は減っていく人と増えている人が拮抗しているのではないでしょうか。その理由は時計に代わる時を知るツールとして、確かにアイフォンはカッコよく登場したけれども、富を表示するツールとしては(特に男性にとって)時計に代わるものが未だ登場していないからではないかと私は考えています。
参照サイト:CPP-LUXURY
photo: cannik ”Watches & Wonders – 1st Asia Haute Horlogerie Exhibition”
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