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アートをネット購入する富裕層がこの2年間で2倍に

NOBLE STATE NEWS 2016.11.22

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アートのオンライン販売が伸びています。ロサンゼルスに拠点がありニューヨーク証券取引所に上場している、オンラインアート販売の大手サーチアート(Saatch Art)は、ここ1年間で売上を24%伸ばしたといいます。

それもオンラインのお客さんはお手頃価格の作品を買っているのかというと、決してそうではありません。サーチアートの顧客の42%が、50万円以上の作品を買っているそうです。

またオンラインでアートを買う人達にとって、SNSが重要な情報源になっていて、何を買うかをSNSの情報で決めたという人が30%以上いるといいます。アートのオンライン販売は世界全体で見ると、2013年に1570億円だったのが2015年には3270億円と2年間で2倍以上にも成長しています。

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Saatch Artのグラフより



しかし世界のアート販売全体は2014年の6兆8200億円から、2015年に6兆3800億円と4400億円下落しているのです。つまりリアルな会場で開催されるオークションとリアル店舗のあるギャラリーでの販売は落ちているが、オンラインアート販売だけが伸びているという状況なんですね。

サーチアートでは2014年にアイフォン用のアプリをリリースしています。ダウンロードして使ってみたのですが、これがとてもよくできています。自分が気に入った作品をクリックして「View in a Room」というボタンを押すと、作品を壁に重ね合わせてみることができるのです。自分の家の空間にこの絵が来ればこんな感じになるのか、なるほどね、と思うとそのままポチッと右にある購入ボタンを押したくなってしまいます。

日本ではアートを扱う画廊、ギャラリーという存在は、よく敷居が高いと言われます。ですから富裕層のお宅に伺ってもアートを飾っている方というのは本当に少数派です。絵を壁に飾るという習慣・文化が無いというか、もともと床の間に軸を掛けるという習慣はあったわけですが、洋間に住むようになってからの日本人は、壁を飾る絵の選び方に対して長らく自信を持てないでいたのではないかと思います。

壁にゼロからアートを飾っていくには絵の知識がないとできない。世界の絵画の巨匠たちについては教えられてきても、絵画の飾り方とか部屋の設えの教養は、なかなか学ぶ機会がなかったのです。

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しかしここに来てこういうツールができれば、一気に購入への道のりは短絡されます。ギャラリーに出かけて行かなくても、自分の部屋でシミュレーションができる。自分の絵に対する教養を画廊の主人に見破られなくても済みます。たぶんSNSの影響もあると思いますが、絵のオンライン販売が伸びているというのは、こういうツールの勝利が大きいんじゃないかと思います。

スマートフォンの空間の中でレコメンドもシミュレーションも全部完結してしまうのですから。日本でも、これからアートをポチッと買う富裕層がどんどん出現してくるはずです。またこのシミュレーションはアートだけでなくて家具などでも応用できると思います。どこかのマダムがスマートフォンでアンティークのコンソールを探していて「あら、これいいわね」とかいいながら、壁に映してレイアウトをシミュレーションしてみて、ポチッとお買い上げになるという、そんな購入体験が今は快適になってきているのでしょう。

参照サイト:Luxury Daily

cover photo: Surian Soosay“ Sign O’ the Times”

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