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私が今でも移動手段で「徒歩」を選んでいる理由

ROSSO 2020.09.18

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多くの人のイメージでは、経営者は派手な車や運転手付きの車で通勤したり、タクシーを使って移動したりするなど、仕事の責任の大きさに応じて時間を有効活用することが定着していることだろう。しかし、経営者や成功者の中には、莫大な富や財産を築いたにもかかわらず、未だ電車や自転車、徒歩で会社に通い、帰宅する際は、街や商店街を散策しながら帰路につくと言った庶民感覚を今でも忘れない経営者が存在する。



この経営者は、「常に商品を購入してくれるのは、富を多く持つ富裕層や金持ちではなく、日常生活に直結する一般の方である。その方々を蔑ろにした商品開発や販売方法を行えば、結果的に儲かるものも儲からなくなる」と教えてくれた。

さらに、この経営者は何十年もの間休日を使い、自宅の近所や地方のお店、競合他社の店舗へ自分の足で回り続けている。そして、そこで得た情報や交流した地元の方のアイデアを商品開発に活かし、お客様に寄り添う価格設定や販売方法を実践し、独自路線で着実に成果を出し続けている。

私は、この経営者の考え方や行動力に感銘を受け、できる範囲で同様のことを実践するようにしている。



私は、事業の一つとして飲食店を経営している。飲食店の持続的な経営には、自社のアイデアやサービスを充実させるだけでなく、他の店舗がどのような戦略を取っているのか知ること重要だ。しかし、成功していると自社の考え、すなわち自分が正しいといった固定観念に固執してしまい、結果的に事業を失敗へと導いてしまうことが過去の事例からも見て取れる。



では、なぜこの考え方や行動原理が大事なのか? 私がこれまで見てきた経営者の多くは、事業をローンチした際は営業や経営に躍起になるものの、事業やビジネスが安定期に突入すると、創業時の熱意や行動力が減退してしまい、自身のこれまでの活動を披露したり賞賛を受けられるものへと変化したりしてしまう。そのため、結果的に徒歩や電車通勤をやめ、運転手付きの車やタクシー移動といった選択肢を取るようになる。



そうなるとどうであろうか? そこからのビジネスモデルは、価格帯がサービス内容にそぐわないものになってしまったり、競合他社に類似した商品開発になってしまったりと、商品を購入してくれていた購買層の意図を介していない内容になってしまうのだ。成功者や経営者が庶民的な感覚と経営的観点を持ち合わせることは、実は非常に難しいことなのである。
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