質素な生活こそ本物の証

YOU 2019.01.18
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 富裕層といえば、「派手に暮らしている」、「常に外食で高級なものしか食べない」、「好きなものを好きなだけ買っている」、そんなイメージが必ず付きまとう。これらは挙げればキリがなく、富裕層は例外なくこのような生活を送っていると思われている。

  最近、巷ではテレビやSNSの影響もあってか、経営者をはじめ多くの“お金持ち”が派手な私生活や交際関係を披露している。「お金持ち=目立ちたがり屋、女遊びが激しい、ブランド好き…」。メディアの影響から来るイメージというのは、実に怖いものである。

  しかし、あくまで私個人の意見だが、テレビやSNSに出ている所謂お金持ち(セレブ)は、私が思う“本当の富裕層”ではなく、どちらかというと“成金”に近い。もちろん、その中にも圧倒的な資産を持った超富裕層もいることは確かではあるが、“本当の富裕層”であればあるほど、私生活を表に出していることは少ない。

  業界によっては、戦略的に宣伝効果を狙って表に出ることも当然あるだろう。だが、それを除けば本当の富裕層ほどメディアに出ることのリスクを慎重に考え、背負っているものの大きさを自覚している分、私生活を見せびらかすことはまずしないのだ。

  そして、私を含め、まわりの経営者達は世間のイメージとは裏腹に意外と質素な生活をしている。基本的には、月々で使える金額は決まっているし、そこまで私腹を肥やしているわけではない。

  もちろん、だからと言って生活環境や身に着けているものがすべて安価で、高級ではないというわけではない。好きなものであれば一流品を追い求めるし、こだわりを持った高水準のものに囲まれて暮らしているのも事実ではある。

  しかし、その他においては「本当に富裕層?」と思われるような、ごく当たり前の生活を送っているのだ。

  よくそんなギャップとして驚かれるのは、私が着ている服のブランドだ。私はユニクロをとてもよく利用している。安くて高性能、品数も多い。そしてどこにでも売っているファストブランド。プライベートで海外へ行った際もよく利用する。古くいらなくなったユニクロを着て出発し、現地で買った新しいユニクロを着て帰国する。大学生の頃からこのルーティンは変わらない。

  服に興味がないわけではない。むしろ、メンズ雑誌を欠かさずチェックするほど、服も、靴も、鞄さえも大好きだ。だが、オフの時はそれで十分なのだ。確か、以前どこかで見た「経営者の来ている服のブランドランキング」でもユニクロが断トツの1位を獲得していたことを覚えている。ユニクロの店内にいる普通の50代、60代の中高年が、実は大企業の社長であるということは普通にあり得るお話だろう。

  服に近いもので言えば、普段身に着けている時計も同じだ。ロレックスやオーデマ・ピゲ、リシャール・ミルなどの高級時計は、特別な日にだけ身に着けることが多く、普段はもっぱらG-SHOCKを愛用している。G-SHOCKもユニクロ同様、安くて高性能、水にも強く気軽に着けられてちょうど良い。



  靴も高級ブランドの靴よりも大好きなナイキやアディダスのスニーカーを履いていることの方が多い。



  その他でいえば、食生活もそうだ。もちろん、他の経営者と会食やパーティに行くこともあるが、イメージとしてよく持たれがちな「バーを貸し切っての派手なドンチャン騒ぎ」や「パーティーピーポー的なノリ」なんてものも、まったくない。大学時代からの経営者仲間との飲み会の場も普段の食生活も、なんら普通の同世代と変わらない。

  結婚した今も、外食をすることより妻の手料理を家でゆっくり食べることの方が圧倒的に多い。「好きなだけお金が使えて良いですね。」と言われることが多いわりには、本当にごく普通の生活を送っているのだ。

  例えば、ある飲食店に行った場合、普通ならば「料理が美味しかった」、「お腹いっぱい食べられて満足だ」、「また来よう」そんな感想を持ち、帰宅することが多いだろう。しかし、私の場合は、店に来ている客層や店の雰囲気、清掃が行き届いているか、スタッフのマナーや目線の配り方、接客スキルなど、挙げれば数十になるであろう項目の数々を、常にチェックしている。それは、自身で同じ業態の店を経営する(立ち上げる)ときに非常に役に立つからだ。

  これは、先ほどお話したユニクロでも同じことが言える。食品を買うにしても、服を選ぶにしても、「買えれば良し」という話ではない。

  産地や品質、値段の差はどこから生まれるのか? 何がそこまで違うのか? 他の顧客がどんな商品を手にとっているのか? 何を考えながら購入に至るのか?

  年齢層や店内に多い家族構成など、あらゆる目線で見ることを心がけている。

  これは、言い替えれば、ビジネスで活かせるヒントは、派手な世界よりも、このような“ごく普通の生活の中”に転がっていることの方が圧倒的に多いということだ。その中でしか見えないものがあり、どのようにして違う目線でものを見るか、思考を凝らして生活出来ているかの方がよっぽど重要だからだ。

  それにお金は必要ない。それが答えだ。だから、わざわざお金をかけ、毎回高級バーやレストランに行かなくとも、普段の生活から十分に仕事に生きる情報やキーワードを得ることができるのだ。

  一度、ある大企業の経営者に1ヶ月の支出を聞いたことがある。そのときは、本当に驚いた。「え?それだけ?」と耳を疑いたくなるような金額だったからだ。しかも、その方は実際に月間で使ったレシートをすべて保管されており、きちんとお金の管理されていた。どれだけ稼いでいてもきちんと金銭感覚を保ち、自分をコントロールできている証だと感じた瞬間だった。



  ある時期の私の支出について、同期のサラリーマンの友人と比較したときも、家賃を除けば私の方が支出が少ないことがあった。内容をみると【生活費】、【飲み代】、【無駄な出費】が圧倒的に異なり、自分が持っている資産のわりには質素な暮らしをしていることに初めて気付かされた。

  お金持ちの共通点として言えることは、大きなお金を使ったり、動かしたりしつつも、細かな出費も覚えているということ。水道光熱費やスマホ代、1ヶ月いくらおろしているかなど、細々した数字まですべて頭で把握しているし、最終的には自分が1年間に使うであろうお金を把握しながら生活している。

  「そんなこと当たり前でしょ」と思われるかもしれないが、ビジネスで成功し、使えるお金が急激に増えていく過程で、“このごく当たり前の金銭感覚”を維持していくことは意外と難しい。この感覚を維持できず、派手な生活からお金に蝕まれていった人間ほど早く転落していく。そんな光景を何度も目にしてきた。

  だから、私は計画性をもって、所謂“質素な生活”を送り、お金の流れを管理しながら投資に回す。その繰り返しだ。富裕層が現金を持ち歩かずカードで済ませてしまうのも、さまざまなメリットやリターンがあることを知っての上であり、お金を大切にしている証拠でもある。

  大金を扱うが故に、細部まで気を使うことは大切であり、それを維持できない人間は大金を持つ資格がないとも言われてきた。派手な生活やお金の使い方をしているのは、限られた場面において、あるいはごく一部の人間のしていることであり、財を成していながらも、お金の力をきちんとコントロールし、質素な生活からさまざまな物の見方やビジネスへのヒントを見出せる者こそが、「本当の富裕層」と言えるのである。


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