ブダペストの花嫁

Mimi 2016.08.22
 アメリカ人のブライアンから、彼の花嫁、ドリスの母国ハンガリーでの結婚式出席の打診があった時、一瞬「遠いな」と思った。でも、子供の頃から知っているブライアンが立派な大人になり、素晴らしい花嫁を迎える現場を目に出来るなんて、なんという幸運。

 それに、ブダペストで前からやりたかったこともある。まず、前回行った時にお友だちになったアグネスさんと再会すること。そして、ゲッラート・ホテルに泊まることである。(ここでは発音どおりゲッラートと表記する。)

 打診を受けたほんの1時間後には、息子のフィアンセも含めた家族の飛行機も決まり、あこがれのホテルの予約も完了していた。アグネスさんにもこちらの日程を知らせた。

 しばらくするとブライアンとドリスから結婚式の招待状が届いた。蝋で封印し、紐がかけてある凝った作りの封筒を開くと、王族からの招待状はかくや、と思える金字の印刷。後で聞けば、アーティストのドリスが考案し、活字を並べ、特別な印刷機を使って一枚一枚手動で刷ったそうだ。

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 その後、ブライアンの両親も、ブライアン一家を私に紹介してくれたキャラも同じホテルに泊まることになり、ますます期待感は高まった。

 家族より一日早く一人でブダペスト空港に着いた私を、アグネスさんが迎えてくれた。再会の抱擁をしただけで、私の長年の夢が一つ叶ってしまった。旦那様の車でホテルへ。夜のライトアップされた鎖橋やホテルの美しいこと!こうして私の短いブダペスト滞在が幕を開けた。

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 翌朝には、アメリカから来た一行と、楽しく笑いさざめきながら豪華な朝食のテーブルを囲み、それからは行動を共にする。

 思えば、うちの家族がシアトルのキャラを訪ねた時に、ブライアンの家の大みそかのパーティに招待されたことがこの度の結婚式に繋がった。うちの息子は当時6歳。玄関からすぐボーイズ・ルームに連れて行かれてしまったので、英語も出来ないのに大丈夫かしら、と覗きに行くと、皆でテレビゲームに興じていた。ニンテンドーが共通言語だったのだ。もちろんブライアン初めみんなが息子をかわいがってくれたから大丈夫だったに違いない。その時ブライアンは6歳年上の12歳。

 さて、アメリカ組と観光、スケッチなどをして日を過ごすうちに、とうとう結婚式の当日になった。

 結婚式は、ブダペストのシンボル、ブダの丘に建つ王宮の敷地続きの「漁夫の砦」で執り行われた。大抵の観光客が訪れる観光スポットだ。

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 私は、日本から持参した絽の訪問着を着て式に臨む。滞在中ずっと雨だったのに、この日に限って晴れ、天まで祝福してくれているみたいだ。出席者もアメリカとハンガリーだけでなく、スウェーデンなど世界各地から集まっている。

 まず、黒のタキシードを着た、グルームズマンと呼ばれる花婿の付添人たちの登場。そして、その後にパステルカラーの服に身を包んだ花嫁の付添人(ブライズメイド)の登場。

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 そしていよいよ花嫁がお父さんにエスコートされてやってくる。金の縫い取り刺繍のあるウェディングドレスの豪華で美しいこと!幸せいっぱいの花嫁を更に引き立てている。

 式は、英語とハンガリー語の二か国語で行われた。司会者の女性によって、二人がどのようにして知り合ったか、どういうところを惹かれあったか、など出会いから今に至るまでが語られる。そして、誓いのキス。美しい花嫁とかっこいい花婿のキスはまるで映画の一シーンみたいだ。

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 観光に訪れた人たちも、離れた階段や塔から見守り祝福している。その中を新婚夫婦は、幸せいっぱいに歩いて行く。

 式の後にはブーケトス。前列にいる背の高い女性がキャッチ。やっぱり背の高い人は得だ。

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 記念撮影の後には、一階でディナー。それぞれの席に、メニューとともにDとBのイニシアルが描かれたクッキーが置いてある。

J1 J2 J3  私と家族が座るテーブルでご一緒なのは花嫁の親戚。お兄さんの一歳半の坊やがとてもかわいい。むずかったりせず、ずっと楽しそうにしている。

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 ディナーの後には、花嫁花婿のファーストダンス。

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 ファーストダンスの後には、皆がダンスに加わり楽しい宴は続く。私も着物で踊った。こうして、ブダペストの結婚式は無事終わった。

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 翌朝、いつものメンバーでいつもの時間に集まって朝ごはんを食べていると、キャラが「私のBucket List を叶えるに付き合わない?」と話を持ち出してきた。初めて聞く言葉。日本語に直訳すると、バケツ・リストになる。説明して貰うと、日本で『最高の人生の見つけ方』という題で公開された映画の原題は、”The Bucket List” で、それ以来、キャラの周りのアメリカ人は皆、死ぬまでにやっておきたい事をバケット・リストと言うのだそうだ。ちなみにキャラのリストにあるのはモン・サンミッシェル。ブライアンのママが参加するという。私も行ったことがあるけれど、もう一度行ってもいいわよ、と言う。

 そこで、ふと思った。この結婚式に出席することで、私は自分のバケット・リストを叶えたんじゃないかと。アグネスさんにも会え、ゲッラート・ホテルにも泊まった。そういえば、ゲッラート・ホテルのスパに入るのもリストのうちだ。

 皆でスパに行く。ホテルに泊まると入場券が付いてくる。下の写真のスパの他にも、いくつもの温泉がついていて、どれも豪華で、タイルや置物が、ローマ時代の貴族にでもなった気分にさせてくれる。

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 帰国前日、ハンガリーのお菓子を注文して、アグネスさんと最後のおしゃべり。息子たちにもたくさんおみやげ。わたしにはヘレンドの陶器の入れ物をいただく。ハンガリーの思い出と一緒に大事にしよう。

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 ブライアン、ドリス、ご招待本当にありがとう。本当に素晴らしい結婚式でした。お幸せにね。

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テーブルに思い出の品を並べてみた。王冠の入れ物はMimiの作品

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ブダペストでしたスケッチ

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ブライアンとドリスから届いた手書きのお礼状のカードの表
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